日ハムに球界屈指の“くせ者”が出現 中島卓也が守備の人から史上最強の2番へ
黒木投手コーチも「ボクだったら嫌」
日本ハムの中島卓也が球界屈指の“くせ者”になりつつある。高卒6年目の23歳。その存在感は日増しに際立ってきた。
ファウルで観衆を魅了する――。7月21日のオリックス戦。会場は京セラドーム大阪。0-0の3回表、この日2度目のアットバット。マウンドに立つディクソンの表情が投げるたびに曇っていった。
2ボール1ストライクとなってから4球連続でファウル。1つボールを挟み、そこからさらにファウルを重ねた。結果、11球をファウルし、トータル16球も投げさせた。最後は遊ゴロに倒れはしたが、ディクソンに与えたダメージは大きかった。2日後の第3打席ではルーキー右腕の吉田一に11球も投げさせた。
もともとは守備の人。二遊間を守らせたら天下一品。スタメンに名を連ねていなくても終盤の守備固めで起用されることが多かった。
だが、今年はひと味もふた味も違う。守備力に加え、攻撃力が備わったのだ。引っ張ることはあまりない。ほとんどが流し打ち。決して大きくはないその体。打ち損じが内野安打になる俊足の持ち主。盗塁も高確率で決める。自らの長所を心得たバッティング、攻撃スタイルを徹底している。
そして何より、打席で見せる驚異的な粘り。相手投手にとっては、こんなに神経をすり減らす選手はないだろう。黒木投手コーチは自らがマウンド上で中島を打席に迎えた場面を想像し、こう語る。
「ファウルが打てるという以前に足が速くて左に強い打球を打てる。ちょっとでも当たり損なったら内野安打。そりゃ、嫌で仕方ない。ボクだったら嫌。ピッチャーは早く追い込みたくなるんだけど、2ストライクを取ったら取ったで、強く振りにいきながら、くさい球をカットする。1、2球目を簡単に打って凡打してくれたらいいんですけど、早いカウントで甘く行ったら、強く振れる分、やられることもある」