日ハムに球界屈指の“くせ者”が出現 中島卓也が守備の人から史上最強の2番へ
“その道”のスペシャリストになりえる逸材
いくつもの武器を携え、穴はない――。となれば、先発起用されることは必然。シーズン前半は控えに回ることもあったが、7月9日の楽天戦からは二塁手としてスタメンを張り続けている。シーズン後半からは「2番・セカンド」が定位置。犠打も上手い。守備同様、実に堅実だ。
真綿で首を絞めるかの如く、相手ピッチャーを苦しめる。ベンチは安心してバントのサインも出せ、守備の不安は一切ない。理想的な2番バッターと言えるだろう。
過去には巨人の川相昌弘、西武の平野謙、ヤクルトの宮本慎也といった名プレーヤーが2番で輝きを放った。現役選手ではソフトバンクの今宮や楽天の藤田といった名が挙げられる。
それでも中島は「9番でも1番でも2番でも、自分のやることは変わらない。どうやったら塁に出られるか、しか考えてはない。粘り? そういうのがなきゃ、ボクはここ(1軍)にいられないです。レギュラー? 取ったとは思ってないし、悪かったらすぐに代えられると思っている」。いたって謙虚。あくなき探求心、向上心も併せ持つ。
9月2日現在。日本ハムは118試合を消化した。中島は100試合に出場し、346打席に立っている。シーズン終了後の規定打席到達は十分に可能だ。2日の楽天戦では3安打2打点。4打席目には左中間を破り、自慢の快足を飛ばして3塁に達した。
ファンの間などでは「タクちゃん」の愛称で親しまれている。ルックスも良い。だが、プレースタイルは「やらしい」の一言に尽きる。守備の人から史上最強の2番へ。確実に“その道”のスペシャリストになりえる逸材だ。
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J・T●文 text by J・T