日本人初の金字塔 黒田博樹が成し遂げたメジャー5年連続2桁勝利の価値

メジャー全体でも5年連続を継続するのはエース級しかいない

 2年連続2桁勝利となると、岩隈久志(2013、14年)、松坂大輔(2007、08年)、大家友和(2002、03年)、伊良部秀輝(1998、99年)の4人がいる。松坂はデビューから15勝、18勝ときながら、3年目には右肩の故障などもあり4勝に終わった。岩隈はこの2年間で黒田を上回る安定感を見せているだけに、どこまで記録を伸ばすかに注目が集まる。

 黒田が今季も2桁に到達したことで、今季はダルビッシュ、岩隈、田中将大ととともに日本人投手4人が10勝以上を挙げたが、これは史上初。野茂が切り開いた道は、大きく、立派なものになった。

 また、現在、長期間にわたって2桁勝利を続けているのは、メジャーでもエース級の投手しかいない。現役最高はブルージェイズのマーク・バーリーが14年連続と、とんでもない記録を誇るが、5年以上のくくりで見てみると、計30人には届かない。つまり、チームに1人いない計算になる。まさにエースの証の1つと言える。

 ア・リーグでバーリーに続くのは、9年連続のジャスティン・バーランダー(タイガース)、8年連続のジェームズ・シールズ(ロイヤルズ)、7年連続のジャレッド・ウィーバー(エンゼルス)、6年連続のフェリックス・ヘルナンデス(マリナーズ)、デビッド・プライス、リック・ポーセロ(ともにタイガース)、5年連続のマックス・シャーザー(タイガース)、C・J・ウィルソン(エンゼルス)ら。黒田のチームメートのCC・サバシアは昨年まで13年連続で2桁勝利を挙げていたが、今季で途切れた。

 ナ・リーグでは、10年連続のダン・ハーレン(ドジャース)を筆頭に、7年連続のザック・グリンキー(ドジャース)、ティム・リンスカム(ジャイアンツ)らがいる。現在、メジャー最強のスターターと言われるクレイトン・カーショー(ドジャース)は黒田と同じ08年にメジャーデビューし、同じ5年連続で2桁勝利を継続中だ。

 そうそうたる名前を見れば、長期間にわたって勝ち星を挙げ続けるのが、いかに難しいことであるか分かる。

「周りの目を良い意味で覆せる。それが自分の力になっている」

 今季序盤は衰えを指摘されることもあった黒田は、39歳での5年連続2桁勝利達成の原動力について、こう語った。メジャー屈指の安定感で、歴史に名前を刻んでいく。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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