冴えた原監督の勝負勘 勝負に徹した3度の代打策

序盤の4失点を跳ね返した原采配

 8回、原監督は大田泰示に声をかけて代打に送り出した。1点ビハインドで投手・久保の打席が回ってきたため、大田を使った。

「彼には足があるのでね、ゲッツーの可能性は少ないと思ったから」と原監督は自分のスイングをしてこいと背中をたたいた。レフト前ヒットを放った亀井を1塁に置いた場面で、監督の思いを背負った大田は迷うことなくバットを振りぬき、逆転の2ランアーチを故郷・広島の夜空に描いたのだった。

 2位・広島との3連戦の3つ目のゲーム。優勝マジックは「10」で迎えた。マジックナンバーが1桁にさしかかると、独特な緊張感からか足踏みすることもよくあるが、巨人は終盤での逆転勝利で一気に2つ消し、「8」とした。1回裏に4点を奪われる展開も、一方的な試合にさせなかった。追いつくことができたのは、原監督が序盤から試合を動かしたからだろう。

 見逃せないのは3度の代打策がすべてはまったことだ。まずは2回。いきなり4失点だった先発の澤村の立ち直りを待つのではなく、攻撃のチャンスと見ると、代打にアンダーソンを送る。するとアンダーソンは1点差に迫った1アウト3塁からタイムリーを放ち、チームに勢いをつけた。

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