青木宣親も認めるロイヤルズPO進出の原動力 才能ある若いチームを後押しした42歳ベテランの存在

長年低迷した弱小チームはいかにして強さを手に入れたのか

 青木宣親の所属するロイヤルズが、1985年以来29年ぶりとなるプレーオフ進出を決めた。強豪の揃うア・リーグ中地区で万年最下位の印象が強かったチームだが、弱小チームの強みでもあるドラフト上位指名権を有効活用し、将来有望な若手選手をじっくりと育成してきた努力が、ようやく実を結ぼうとしている。

 2012年に地区3位に浮上すると、2013年は同じく地区3位ながらも10年ぶりの80勝超えを記録(86勝76敗)。チームの地力が少しずつではあるが確実にアップしていることは誰の目にも明らかだった。

 昨オフにブルワーズからトレード移籍してきた青木も、ロイヤルズについて「優勝を狙える若くて面白いチーム」だと説明を受けたという。キャンプインした2月20日、背番号「23」のついたロイヤルブルーのユニフォームを身にまとった青木は「今日のミーティングでも“優勝”という言葉が飛び交っていましたし、活気のあるいいチームだと思います」と好印象を口にしていた。

 実は、キャンプインした時点で、32歳の青木は野手で2番目に年上だった。最年長は二塁手のオマー・インファンテだったが、青木より10日誕生日が早いだけ。生え抜き野手の最年長がアレックス・ゴードンの30歳である事実を見ても、ロイヤルズがどれだけ若いチームかが分かるだろう。

「若さ」は、時として両刃の剣となる。「活気」「勢い」「怖い物知らず」というプラスの要素が前面に押し出された時は、上昇気流に乗って連勝街道をまっしぐらだ。だが、自分の期待通りの結果が出なかった時、あるいは何かの弾みで歯車がズレ始めた時、若さ故の「経験の浅さ」が表に出てしまうことがある。

 苦境に立たされた時の対処法が見つからない。あの手この手を尽くすがスランプを抜け出せず、各選手の意識がチームそのものにではなく個人に向き始める。もちろん、チーム全体の士気は低下するわけだが、今季前半のロイヤルズはこの道をたどりつつあった。

 前半戦は勝率5割をキープするのが精一杯だったチームが、プレーオフ進出を決めるまでの強さをどうやって手に入れたのか? さまざまな要素が絡み合っての結果だとは思うが、見過ごせない要素の1つが「勝つことの意味を知るベテラン選手の加入」だろう。

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