苦難のメジャー14年目にも超プラス思考 「マイナスが思い浮かばない」イチローの強さと自信
「自分の支えになる時間だった。“これ以上はない”という時間」
イチローほどの圧倒的な実績を誇る選手にとっては、つらい1年、受け入れがたいシーズンだったのだろうか。思わずそんな想像もしてしまうが、本人の考えは違う。
「いや、プラスに考えられることなんかいっぱいありますよ。マイナスが思い浮かばないくらいですね」
ここにイチローの強さを見ることができる。
当然ながら、日本球界で史上初のシーズン200安打を達成した1994年から、イチローが控えという立場になったことはなかった。それでも、プライドを傷つけられるというマイナスの思考よりも、この現実を前向きに消化していきたい。そんな気概が感じられる。
「(これまでも)色んな経験をしてきて、いつか自分の支えになっていく経験はあると思いますが、もちろん、その中に加わる時間だったと思っています。自分の支えになる時間だった。たとえば、高校時代の2年間は僕の大きな支えになっている。そういうことの1つ。今後、僕を支える時間だと思います。なかなか“これ以上はない”という時間かな」
今季の月別の打率を見てみると、4月は3割5分7厘、5月は2割8分6厘と好調を維持した。6月は2割5分7厘、7月は2割2分4厘と調子を落としたものの、8月は3割5分2厘と再び調子を上げ、9月は2割8分2厘とまずまずの状態でフィニッシュした。いつ試合に出るかも分からず、リズムを作りにくい中で通算打率2割8分4厘。打席数は170も減ったが、昨年の2割6分2厘よりも上昇した。