頭角を現した慶大卒のスター候補生・白村明弘　日本ハムの下剋上に貢献できるか

慶応高から慶大のエリートも順風満帆ではなかった野球人生

　リーグ最終戦となった5日の楽天戦では3番手で登板。1イニングを1安打無失点に封じ、プロ初勝利も飾った。

　先発、中継ぎ、抑え。現在のプロ野球界は完全分業制。ストッパーに求められる資質は多い。よく言われるのが空振りが取れること。そして変化球でもストライクが取れること。何より、強靱な精神力が必要とされる。

　緊迫した場面。抑えて当然の場面。自身の投球内容が勝敗に直結する場面。そんな土壇場を迎えてやっと“仕事場”に向かうのが守護神というポジション。プロとして、まだまだ発展途上とはいえ、大学時代にも抑えを経験している。白村への期待は大きい。

　投げるたびに結果が伴ってきた。日本ハムの黒木投手コーチは「順調？　今はいろんなことを試している段階。投げる場所も含めてです。でも、テンポがいいですよね」。手放しで絶賛することはない。ただ、表情は自然と緩む。まだプロ1年目。順調に1歩1歩、その道のスペシャリストへと続く階段を登っている。

　慶応高から慶大。経歴だけを見れば、エリートだ。だが、順風満帆ではなかった。肉体的、精神的な不調。そして肩のけが。恵まれた素質とは裏腹に大学時代、スポットライトが当たることは少なかった。それでもプロの道に足を踏み入れることができた。

　理想の投手を問われると即答した。「（現守護神の）増井さん。物怖じしないですよね。いつもあんな（緊迫した）場面で投げている。スゴいと思います」。その怖さを知っているからこそ、心から言える。そして自身の目指すべき所に、しっかりと照準を合わせているようだ。

　リーグ3位から日本一へ。日本ハムは下克上を目指す。打たれていい場面。消化試合など存在しない短期決戦。白村のマウンド度胸にも注目だ。

【了】

J・T●文　text　by　J・T