昨季ワールドシリーズのリベンジに燃える24歳がカージナルスを劇的勝利に導く
昨季ワールドシリーズで上原浩治の牽制球でアウトとなったウォン
カージナルスの歓喜の中心には小柄な内野手、コルテン・ウォン(24)がいた。ジャイアンツとのナ・リーグ優勝決定シリーズ第2戦。4-4の9回裏、左打席に入ったウォンは相手のロモのインローに来た2球目を思いきり振り抜き、ライトスタンドへサヨナラホームラン。絶叫しながらホームへ帰ってくると、ナインと抱きついた。
ウォンはドジャースとの地区シリーズ第3戦でも同点の7回に決勝の2ランを放ち、ディビジョンシリーズ突破に大きく貢献した。そしてこの夜も、主役になった。
「ホームランになるとは思ってなかったよ」
走り出しながら、歓喜の声で決勝打となったことに気がついた。
1年前の屈辱を忘れたことはない。昨年のレッドソックスとのワールドシリーズ第4戦。9回2アウトから、一塁走者のウォンは上原浩治の牽制球でアウトになり、ワールドシリーズ史上初の牽制アウトでゲームセット。その後、自身のTwitterで、カージナルスファンに謝罪した。
すべてのカージナルスファンに謝罪したい――。
彼はずっと引きずっていた。もちろん、マイナスではなく自分の力に変えようと。「忘れたことは一度もない」。ワールドシリーズの悔しさはワールドシリーズでしか晴らせない。決勝アーチを本当に喜ぶのは、世界一になってから。昨季の屈辱を吹き飛ばすような歓喜の雄叫びはその時まで取っておくと心に決めている。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count