リーグ優勝MVPは年俸6000万円の“格安選手” ケインのプレーに象徴されるロイヤルズ躍進の要因

第4戦では3番打者としてPSで30年ぶりのバントも

 ロイヤルズがなぜここまで躍進できたのか。

 それをケインが体現した場面が、15日のリーグ優勝決定シリーズ第4戦にあった。初回。エスコバーの内野安打と青木の死球で無死1、2塁と好機を作ると、絶好調のケインは迷わずバントした。1死2、3塁とチャンスを広げ、続くホズマーの内野ゴロで相手の守備が乱れる間に2人が生還。この2点を守りきり、ロイヤルズは29年ぶりのリーグ優勝を決めた。

 ケインのバントがなければ、初回の2点は生まれなかったかもしれない。ただ、これはベンチからのサインではなく、ケイン自らの判断だったとネド・ヨスト監督は語っている。ESPNスタッツ&インフォによると、ポストシーズンで3番打者が初回に送りバントをしたのは、1984年のスティーブ・ガービー以来、実に30年ぶりのことだった。

 メジャーでも、レギュラーシーズンに比べてポストシーズンでは、バントを使うことは多くなる。ただ、初回にクリーンアップが犠打を決めるのは、さすがに珍しいということは、30年ぶりというデータを見れば明らかだ。その判断をシリーズMVPに輝くほど打撃で波に乗っていた選手が出来るところに、チームの一体感が表れている。

 ロイヤルズの野球には、何とも言えない爽快感がある。ケインに代表されるように、それぞれの選手が個性を存分に生かし、最大限に能力を発揮し、全力でプレーすることで強敵を打ち破っていく。もちろん、青木もロイヤルズの野球を体現する中心的な存在としてチームに勢いを与えている。ワールドシリーズでも、スリリングな試合が見られることは間違いないだろう。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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