坪井智哉氏が見る古巣・阪神の躍進 復調を見せる福留に「バッティングに手を入れてバッチリ合った。さすが」
「阪神に勝ってほしいという気持ちはある」
25日から始まる日本シリーズ。今年、日本一に輝くのはセ・リーグ2位から勝ち上がった阪神か、それとも、パ・リーグ覇者のソフトバンクか。注目のシリーズ開幕を前に、今季限りで現役を退いた坪井智哉氏に古巣・阪神の快進撃について感想を聞いた。
同氏は1997年のドラフト会議で阪神に4位指名されて入団すると、翌年のルーキーイヤーにいきなり定位置を確保。打率.327の好成績を残した。その後、日本ハム、オリックスと移籍し、2012年から戦いの場をアメリカに移した。そして今季限りの引退。現役を離れることになった坪井氏の目に、9年ぶりの日本シリーズ進出を決めた古巣の戦いぶりはどう映っているのだろうか。
――阪神がCSのファイナルステージで巨人に4連勝。シーズン中は苦しみましたが、調子を上げてきた要因はどこにありますか?
「これは毎年言われていることですが、ファーストステージを勝ち抜いたチームは勢いがありますし、試合慣れしているのでファイナルステージでの戦い、特に初戦などは有利になることが多いですね。それが、阪神に勢いを与えたひとつの理由になっていると思います。
もちろん試合を重ねれば巨人も慣れてきますが、巨人は菅野投手の負傷離脱がやはり大きかったと思います。内海投手や杉内投手の調子も悪かったので、余計にそれが響いた印象です。若手の小山投手なども大舞台で投げていましたが、まだ荷が重いですし、可哀想な部分もありました。
逆に阪神は、シーズン序盤で大けがをした西岡選手が戻ってきて、さらに調子を上げてCSに臨むことができた。そうしたタイミングが上手く合致して、阪神がより優位に戦いを進められたことが、この結果に繋がったと思います」
――福留も一気に調子を上げてきましたね。
「福留選手は、夏場にバッティングでタイミングの取り方を変えました。あれだけ調子が悪ければ何かしら変えなければなりませんが、福留はバッティングに手を入れて、それがバッチリ合った。さすがだと思います。あれだけの短期間でタイミングの取り方を変えて結果に繋げるのは、簡単にできることではありません。素晴らしいです」
――結果に繋がらないと、甲子園球場のプレッシャーは大きい。経験した選手にしか分からないことかもしれないが。
「阪神ファンの声援は本当に凄いです。そして野次も。ただそれは、ファンの方々の愛情の裏返しです。ファンの方々はよかれと思って選手に声を掛けてくれるわけで、もちろん関西のノリで笑いを取ろうとする野次もあるとは思いますが(笑)。
現役を離れてから、仕事で2回ほど甲子園に行かせてもらいましたが、スタンドから試合を見て、改めて凄い環境の中で戦っていたんだなと感じました。それだけたくさんの観客の皆さんが応援してくれていることの表れですし、選手としては本当に最高の舞台でやらせてもらっていると感じましたね」
――古巣の阪神が9年ぶりの日本シリーズに進出します。どんな結果を予想されますか?
「まだ現役を退いたばかりなので、シリーズの予想をすることは難しいですね。ただ、阪神は自分が在籍していたチームですし、その阪神に勝ってほしいという気持ちはありますね。福原投手や関本選手、安藤投手など一緒にやっていたメンバーがまだまだ頑張っていますし、監督の和田さんは、僕が現役の時に1、2番を組んでいたコンビです。コーチ陣も、山田コーチや吉竹コーチ、山脇コーチなど、みんな一緒に戦ったメンバーですし、皆さんに是非頑張って欲しいというのが願いですね」
【了】
坪井智哉プロフィール
1997年プロ野球ドラフト会議で阪神からドラフト4位指名を受けて入団。
2003年からは日本ハムファイターズ、2011年からはオリックスで活躍した。
2012年以降は度重なる怪我に悩まされるも、アメリカの独立リーグ4球団に所属。
2014年シーズンは、米独立リーグのアトランティックリーグに加盟する
ランカスター・バーンストーマーズに所属をしたものの引退を決意。
1974年2月19日 愛知県名古屋市出身 40歳
PL学園高等学校、青山学院大学、東芝を経て1997年にプロ野球入り
坪井智哉オフィシャルブログ
フルカウント編集部●文 text by Full-Count