最近5年で3度のWS制覇に輝いた強さの理由 ジャイアンツを世界一に導いた3人の“WS男”
圧巻の打撃を見せたサンドバルとペンス
打者の2人の存在も大きかった。サンドバルは2012年のWSで、ベーブ・ルース、レジー・ジャクソン、アルバート・プホルスに続く史上4人目の1試合3本塁打をマーク。16打数8安打の打率5割という活躍でチームを4戦全勝に導き、MVPに輝いた。
そして、最高峰の舞台での勝負強さは、2年後の今回も変わらなかった。今WSでは28打数12安打の打率4割2分9厘、4打点をマーク。ゲームを左右する場面での勝負強い打撃が光った。
WS通算での打撃成績は、47打数20安打の打率4割2分6厘、3本塁打、8打点、9得点。打率はデビッド・オルティス(4割5分5厘)、ボビー・ブラウン(4割3分9厘)に次ぐメジャー史上3位の数字となっている。今季、レギュラーシーズンでは2割7分9厘だったが、10月に入ると打撃が爆発する不思議な選手だ。
ペンスの働きも今季のWS制覇には欠かせなかった。7試合で27打数12安打の打率4割4分4厘。二塁打3本に1本塁打、5打点、7得点とまさに大暴れだった。特に、強烈なライナーでセンターにたたき込んだ第1戦のソロ本塁打は印象的だった。
1シーズンのWSで25打席以上に立ち、打率4割4分4厘はメジャー史上3位タイの数字。上位の2人は、いずれも野球殿堂入りを果たしているロベルト・アロマー(1993年・ブルージェイズ、4割8分)、ルー・ブロック(1968年・カージナルス、4割6分4厘)となっている。
2012年も合わせて、WSでは通算打率3割9分、6打点、10得点。サンドバルにはわずかに及ばないが、こちらも驚異的な数字と言えるだろう。
短期決戦では、ヒーローが生まれたチームが強さを発揮する場合が多い。今回のWSで、ジャイアンツには主力に3人のヒーローがいたのだから、そのアドバンテージは大きかった。圧倒的な勢いに乗っていたロイヤルズとの戦いは名勝負だった。ただ、ジャイアンツの3人の“WS男”が、ロイヤルズとの間にわずかな違いを生み出した。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count