先発ローテの一角に食い込めるか ソフトバンク東浜巨の挑戦
補強の手を緩める気配のないソフトバンク
今季は開幕ローテ入りしながら、初登板だった4月3日の日本ハム戦(ヤフオクD)で、5回4失点でKOされると即登録を抹消された。1軍に戻った6月29日の西武戦(西武D)、7月6日の楽天戦(ヤフオクD)で連勝したが、7月13日の日本ハム戦(札幌D)で6回7安打5四死球3失点。敗戦投手となると、2度目の登録抹消。7月31日の楽天戦(コボスタ)で6回途中5失点すると、3度目の2軍行きを言い渡された。9月19日に1軍へと呼び戻された時には、先発ではなく、ロングリリーフ要員だった。
だが、チームが絶不調に陥っていた9月24日の楽天戦(ヤフオクD)で3回KOされた摂津の後を受け、6回1失点と好投。これで、ポストシーズンへの切符をつかんだ。日本ハムとのクライマックスシリーズ・ファイナルステージ第3戦は、7回5失点したものの、9三振を奪った。そして、日本シリーズだ。勝てば、日本一へ王手、敗れれば、星をタイに戻されるという、シリーズの流れを左右しかねない場面で、快投した意味は大きかった。
シーズン成績2勝2敗では本人も、ファンも納得しない。工藤新監督の下で戦う来季こそ、先発ローテの一角に食い込みたい、食い込んで欲しいというのが、本人の、そして周囲の思いだろう。
ソフトバンク投手陣の層は厚い。今季2桁勝利を挙げたスタンリッジ、中田、摂津がおり、ポストシーズンで大活躍した大隣もいる。シリーズ第2戦で、大きく曲がるカーブで阪神打線を手玉に取った武田や、今季4勝の岩嵜、育成出身で今季2勝をあげた飯田といった若手もいる。今季、先発マウンドに上がったのは、14投手。さらには、メッツ・松坂大輔の獲得を目指しているという報道もある。3年ぶりの日本一になっても、ソフトバンクにとって、絶対的エース不在は来季の課題。補強の手を緩める気配はない。
先発ローテは、与えられるものではなく、つかみ取るものだ。12球団で最も熾烈な競争を勝ち抜けば、1軍で勝ち星を重ねられる投手になれる。シリーズでの投球を安定して発揮出来れば……。今季の、そして、ポストシーズンでの経験を糧にして、ローテの柱として投手陣を支える東浜の姿を、ホークスファンは期待している。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count