【21Uワールドカップ】誤算だった中村の乱調、救った横山の快投 国際大会は2巡目がキーポイント
データの少ない国際大会をいかに勝ち抜くか
国際野球連盟(IBAF)主催の21U(21歳以下)の野球ワールドカップ(W杯)が11月7日に台湾で開幕した。今回が第1回目の大会はグループA(台湾・チェコ・イタリア・韓国・メキシコ・ニュージーランド)の6チームとグループB(日本・オーストラリア・オランダ・ニカラグア・ベネズエラ)の5チームが出場しており、計11チームで争われる。各グループ、上位3チームがファイナルに進出し、1~6位まで順位付けをする。日本は第1戦でオーストラリアに9回逆転勝ち。苦しい中での初戦突破となった。
相手にはパワーヒッターが並ぶという点からも、剛と柔を兼ね備える日本ハムの中村勝(オーバーエージ枠)が先発した。中村は140キロの直球と90キロの緩いカーブを見せ球に相手打者を翻弄した。侍JAPANの打線も初回に5点を奪い、最高のスタート。楽勝ムードが漂った。
しかし、日本はその後、苦戦。平田勝男監督が「あの5点を守ろうとしてしまったところがあった」と反省するように、中村と高城俊人(DeNA)のバッテリーにはその5点を守りにいく姿勢が見え隠れしていた。完ぺきな立ち上がりだった中村は2回に1点、変化球でかわしにいった4回に5点を失い、KOされてしまった。
中村は4回に押し出し死球を与え、5-2と迫られ、なお満塁のピンチ。相手は8番打者のデール・ライアン。18歳の若い選手だった。中村の力のある直球についていけず、1ボール2ストライク。打者はホームプレートから離れて打席に立っていた。そこを利用しようとバッテリーは外角の変化球で攻めた。しかし、2球続けて外れ、3ボール2ストライク。6球目、外角の変化球をデールにちょこんと出されたバットで弾き返され、ライト前へ。2点を失った。打ち取っていた当たりだった。
打線の1まわり目は1本だけ長打を浴びたが、中村に分があった。しかし、打者2巡目から、オーストラリアの選手たちは、配球を読み、各打者がストレートを狙うのか、カーブを狙うのかを徹底していた。
そのため、打線がつながりビッグイニングは生まれた。平田監督は言う。「データもなければ相手がどんなものかもわからない。これが国際大会の怖さ」。楽勝ムードは一転、侍ジャパンは劣勢に立たされたのだった。