日米野球に挑むメジャーチームは強者揃い 侍ジャパンは“世界連合”を打ち破れるか

名手が揃った内野手、右翼プイグの「キャノン砲」も必見

 捕手では、やはりサルバドール・ペレスだろう。ロイヤルズが29年ぶりにワールドシリーズ進出を果たした立役者。今季は打撃の成績は今ひとつに終わってしまったが、ロイヤルズの誇る投手陣を女房役として支えた。落ち着いた風貌を見ると、24歳という若さは信じられないかもしれないが、プレーにもその落ち着きぶりは反映されている。大きな体格ながらも動きが俊敏なため、ボールを後逸することはほとんどない。また、本塁から二塁へのスローイングの速さと正確さは絶品だ。かの名捕手イバン・ロドリゲスもペレスの強肩はベタ褒めだ。

 内野は守備の名手が揃った。中でも注目して欲しいのは、二塁手の2人、ロビンソン・カノ(マリナーズ)とホセ・アルテューベ(アストロズ)だ。実は、この2人、プレースタイルは対照的だ。カノが天才肌のスマートなプレーを見せるとすれば、アルテューベは泥臭い全力プレーを見せる。

 カノの場合、どんな難しいプレーでも簡単に見せてしまったり、始動が1テンポ早いために好プレーが好プレーに見えないことがあるが、あのスムースな動きはとても真似できるものではない。

 その一方で、身長が165センチともそれ以下とも言われるアルテューベは、体格面での不利さをハッスルプレーでカバー。まさか追いつかないだろう、というような一塁後方ファウルラインへのフワリとしたフライに飛びつき、アウトにすることもある。スタイルは異なれど、マウンド上の投手を安心させる守備力を誇る2人は見逃せない。

 最後に外野手を見てみよう。見逃せない、というよりも、目が引きつけられて離れないのが、右翼手のヤシエル・プイグ(ドジャース)だ。メジャーで吹き荒れるキューバ旋風の中心人物とも言える存在で、その身体能力はおそらく今回の来日メンバーで随一。野球選手としては、まだまだ荒削りな部分も多いが、その野性味溢れるプレーが最大の魅力と言えるだろう。例えれば、劇画アニメに出てきそうな「通常では考えにくい」プレーを平気でしてのける。イチロー選手が外野から投げる矢のような送球は「レーザービーム」の代名詞で知られるが、プイグのそれは「キャノン砲」。メジャーのファンすらうならせるスケールの大きなプレーは必見だ。

 2006年の日米野球ではメジャーチームが5戦全勝を飾ったが、今回はどんな結果となるのか。その戦いぶりを楽しんでほしい。

【了】

佐藤直子●文 text by Naoko Sato

群馬県出身。横浜国立大学教育学部卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2004年にフリーとなり渡米。以来、メジャーリーグを中心に取材活動を続ける。2006年から日刊スポーツ通信員。その他、趣味がこうじてプロレス関連の翻訳にも携わる。翻訳書に「リック・フレアー自伝 トゥー・ビー・ザ・マン」、「ストーンコールド・トゥルース」(ともにエンターブレイン)などがある。

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