なぜエージェントが重要? 日本人選手のメジャー移籍を左右する大物代理人の手腕

鳥谷はボラス氏と契約

 これに対して、テレム氏はやや穏やかなイメージが強い。もちろん、大型契約を引き出すことが最大の仕事である代理人に「穏やか」という言葉は適切ではないかもしれないが、ボラス氏とは違う特徴を持っていると言える。顧客である選手の要望を親身に聞くとされており、実際に松井氏とテレム氏は強い信頼関係で結ばれていた。

 ダルビッシュとレンジャーズの入団交渉など、数々の大型契約もまとめてきた。今オフ、マーリンズとプロスポーツ史上最高額となる13年総額3億2500万ドル(約384億円)で契約したジャンカルロ・スタントン外野手も、テレム氏が主任代理人を務める「WMGマネジメント」が手掛けている。これまでの実績から各球団へのパイプも太い。あらゆる可能性を探りたい金子にとっては、適切な代理人と言えるかもしれない。

 昨オフ、楽天からポスティングされた田中将大投手は、ケーシー・クロース氏と代理人契約を結んだ。今季限りで引退したデレク・ジーターを顧客に抱えていたクロース氏は、契約交渉の情報を徹底的にコントロールことで知られている。

 田中についても、途中経過は全く漏れてこなかった。他球団の条件提示などが分からなかったため、どのチームも手探り状態でクロース氏と契約交渉を行っていたという。結果的に、7年総額1億5500万ドル(約183億円)に加え、4年目終了後には田中がオプトアウト(契約破棄)することが出来るという破格の条件をヤンキースから引き出した。

 同じようにポスティングで渡米を目指す可能性が高い金子にとって、エージェントの存在が鍵を握ることは間違いない。一方で、海外FA権でメジャー移籍を目指す阪神の鳥谷敬内野手はボラス氏と契約しており、どんな影響があるか興味深いところ。日本人選手と手を組んだ大物代理人たちのお手並み拝見といったところか。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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