日米野球24年ぶり勝ち越しの要因 “真剣勝負”の中で見えた侍ジャパンの可能性
侍ジャパンの目指す方向性は間違っていない
「MLB選抜は、日本へ来日して間もなかったので、なかなかエンジンがかからなかった面はあると思います。第4戦、第5戦ではある程度持ち直して、打線も活発になりましたし、投手陣も本来の力を発揮してきました。
ただどちらにしても、実戦から離れると打撃面での試合勘は失われてしまいがちですし、打線が湿ってしまうのは仕方のない部分でもあります。そこからも言えるのは、侍ジャパンが目指している戦い方は、正しい方向性にあると思いますね」
MLB選抜は侍ジャパンに勝ち越しこそ許したものの、局面では圧倒的なパワー、スピードを見せる場面も多かった。そんな中で、飯田氏は“小兵”ホセ・アルテューベを最も気になった選手として挙げた。
「ホセ・アルテューベはいいですね。身長は170センチ弱と、MLB選抜に入ると驚くほど小柄ですし、日本球界でも小さい部類に入ります。メジャーの選手たちの多くは、豪快なスイングと力強い打撃で我々に驚きを与えますが、アルテューベは違った驚きを与えてくれました。
シュアな打撃、必要とあれば右方向へおっつけヒットを打ち、積極的にどんどん走ってくる。MLB選抜の中では貴重な存在ですし、彼のような選手がいると、そのほかの選手がより引き立つことになり、相乗効果が出てきますよね。
何より、あの体のサイズで、MLBでプレーできていることが素晴らしいです」
アルテューベは今季、アメリカン・リーグで首位打者と盗塁王の2冠に輝いた。日本人選手と変わらぬ体格でありながら、気の利いたプレーでメジャーリーグを席巻している。アルテューベのプレーには、様々なヒントが隠されていそうだ。
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飯田哲也プロフィール
スポーツコメンテーター。1968年東京都出身。1987年に捕手としてヤクルトスワローズに入団、主に外野手としてヤクルトの1番バッターを長く務めた。2005年からは2年間楽天イーグルスに在籍。2006年に現役を引退すると、古巣ヤクルトで2013年まで守備・走塁コーチを務めた。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count