果たして覚悟の再出発の行方は 広島復帰の新井に待ち受ける壁

“年俸10分の1”を受け入れてまで決断した古巣復帰

 年俸はわずか2000万円――。今季の2億円(金額は推定)から、わずか10分の1になっても、いばらの道を選んだ。新井貴浩は8年ぶりに、自らFA移籍で飛び出した古巣・広島の門を再びたたいた。

「身が引き締まる思い。自由契約という道を選択した時、まさか帰ってこいと言ってもらえるとは思っていなかったので、驚きました。最後は育ててもらったところで燃え尽きようと思った。声を掛けていただいてうれしかったのですが、客観的に自分のことを考えた時に、帰っていいものか、悩みました」

 11月14日、広島への復帰が決まり、入団会見で新井はこう語った。阪神からは野球協約の減額制限(1億円超は40%)を超える1億円超のダウン提示を受けた。選択したのは、自ら自由契約となる道だった。ただ、退団の理由は大幅減俸ではなく、「最後に、もう一回競争できる環境に身を置きたかった」という思いからだったという。

 競争出来る環境に、というが、踏み出した先は、阪神残留以上に、厳しい状況かもしれない。

 今季、94試合に出場して、176打数43安打、3本塁打、31打点だった新井。今季は、右肩不安もあり、一塁が中心で、10試合に先発出場。チーム事情から、シーズン中盤からは三塁としても、25試合に先発した。広島で想定されるポジションも、一塁と三塁。それぞれのポジションで、新井が広島で置かれる状況を考えてみるとどうなるか。

 まず、一塁だ。なんといっても、今季のセ・リーグ本塁打王のエルドレッドがいる。さらには、メジャー通算25本塁打の新外国人、ヘスス・グスマンをアストロズから獲得。グスマンは、アベレージヒッタータイプの中距離砲だという。外野手には、今季後半にブレークしたロサリオもいる。前出の2人も左翼を守ることが出来るため、一塁と左翼は、ほぼ間違いなく外国人で埋まるだろう。

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