DeNA・梶谷隆幸のコンバートを検証する ショートからライトへのポジションチェンジは成功だったのか
出場機会増を可能にした守備での安定感
昨オフ、DeNA首脳陣は梶谷の外野へのコンバートを決断した。ショートとしての可能性を見切って梶谷の出場機会を優先。攻撃力を確実に生かす道を選んだ。
そのような判断を下された梶谷は、2014年は主にライトとして出場。打率.263、出塁率.355、長打率.438、wOBA.347を記録した。平均的な打者が同じ打席数に立った場合に比べ、5.8点を上積みした。
前年やや高かったBABIP(注2)が落ち着いたこともあり、昨シーズンほどのインパクトはない。打席が倍増したにもかかわらず本塁打は前年と同じ16本。パワーを期待したファンには物足りない成績かもしれない。ショートに比べ攻撃的な選手の多いライトの中では梶谷の攻撃力は抜きん出たものとは言えず、平均レベルだ。
これだけを見ると、コンバートは不発だったと映るかもしれない。しかし、7年目にして初めてレギュラーとして規定打席に到達した今シーズン、梶谷は外野手としての可能性を2つの点で示している。
まずは耐久性である。これまでは期待されながらも故障や守備難で出場が限定的だったが、今シーズンはチームトップの609打席を消化。持てる攻撃力を発揮するための前提はクリアした。その結果、自身初のタイトルである盗塁王もついてきた。
もう1つは、ライトの守備での高い適性だ。ショートとしては難があり失点を増やしていたが、ライトではチームの失点減に貢献できる力があった。
図で示したように守備範囲は広い。不慣れから「送球で走者を進塁させない働き」はあまり見せられなかったようだが、優れた守備を見せていた。同じイニングを平均的なライトが守った場合に比べ、16個余りのアウトを多く稼ぎ、12点余り失点を減らしている。
なお、ライトより守備力を求められるセンターも272イニング余り守っているが、こちらも無難にこなしている。守備データの取り扱いには注意が必要だが、外野の守備に関してはショートほど問題を抱えていない様子がうかがえる。