処分を受けた選手が続々と大型契約 MLBは禁止薬物を排除できるのか
本当に必要なのは各球団を含め全体の意識改革
すると、今季は40本塁打でホームランキングに輝く活躍を見せ、地区制覇に大きく貢献。今オフには、34歳にしてマリナーズと4年総額5700万ドル(約68億円)の大型契約を結んだ。
証拠のリストに名前が載っていたが、昨年の処分リストには含まれていない選手もいる。バートロ・コロンは、2012年の時点でドーピングに陽性反応を示し、50試合の出場停止となっていたため、追加処分を受けなかった。昨季、40歳シーズンながらアスレチックスで18勝6敗、防御率2.65という驚異的な成績を残した右腕は、オフにメッツと2年総額2000万ドル(約24億円)で契約した。
また、メルキー・カブレラもコロンと同じように昨年はお咎めなしだった。ただ、50試合の出場停止処分を受けた2012年オフの時点で、ブルージェイズと2年総額1600万ドル(約19億円)で契約。昨年、今年と2年続けて安定した成績を残したことで、今オフ注目のFA選手となっている。
CBSスポーツが報じたところによると、引き続き外野手の補強を目指しているマリナーズは、クルーズと結んだ4年総額5700万ドルと同規模の契約を用意して、カブレラの獲得に動いているという。
バイオジェネシスの薬物スキャンダルで処分を受けた中で、大物と呼ばれる選手の現状を見てみると、大きなダメージを受けているようには感じられない。50試合の出場停止だけで済み、その先の年俸にも響かないとなれば、多少のリスクを冒しても薬物に頼ろうとする選手が出てきてもおかしくない。むしろ、すでにそういうプレーヤーがいたとしても不思議ではないだろう。
過去に薬物規定違反を犯した選手が大型契約を勝ち取っている現状には、米国内でも批判の声が高まっている。MLBが本当に薬物蔓延から抜け出すには、各球団を含めた組織全体の意識改革が求められているのかもしれない。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count