大竹移籍の穴を埋めた広島先発陣 「ポスト・マエケン」は台頭するか

大竹が巨人へFA移籍も、新戦力が活躍した今季の広島

 開幕前の不安は、杞憂に終わったのではないだろうか。エース前田健太が11勝9敗、ルーキー大瀬良大地が10勝8敗をあげ、2投手が2桁勝利となった。以下、バリントン9勝、野村7勝、福井4勝、ヒース3勝、九里2勝などなど。広島の先発陣は、51個の白星を稼いだ。

 広島は昨オフ、前田とともにローテの軸の両輪を担った大竹がFA権を行使し、巨人へと移籍した。2年連続2桁勝利をあげた右腕の移籍。先発陣の弱体化が叫ばれたが、フタを開けてみれば、今季は優勝争いを演じ、最終的には13年と同じ2年連続の3位でフィニッシュした。13年の先発投手陣の白星は52個(うち大竹が10勝)。数字から見ても、その穴は埋められたことがうかがえる。

 最も穴を埋めたのは間違いなく、ルーキー大瀬良だ。シーズン中盤に勝てない時期もあったが、一度もローテを外れることなく、1年間を戦い抜いた。2桁勝利をあげ、文句なしの新人王に輝いた。初完投、初完封も成し遂げた。大竹が今季、巨人で9勝止まりだったことを考えても、先発投手としての役割を果たしたと言っていい。

 さらに、大竹のFA移籍の“副産物”が、大きな働きをした。一岡竜司だ。25人のプロテクト枠から外れ、広島が人的補償で迎え入れた右腕が、前半の快進撃を支えた。中田廉、ミコライオとともに、勝利の方程式に入ると、3月29日の中日戦(ナゴヤ)から、5月26日の西武戦(三次)にかけて、20試合連続自責点なしと好投を続けた。

 中盤から終盤にかけ、2度、右肩の故障で離脱したのはチームとして痛かったが、31試合で2勝0敗16ホールド2セーブ、防御率0・58。前半戦だけで言えば、投のMVP級の働きだった。

 優勝に届かなかったのは、投手の側面から言えば、バリントンや野村といった先発陣が不振に終わったこと、一岡の離脱により、リリーフ陣に過度の負担がかかり、中盤以降にその影響が出たことなどが考えられる。大竹移籍と、大瀬良の活躍と一岡の獲得。影響は、プラスマイナスゼロないし、プラス面のほうが大きかったのではないか。

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