2年目の大躍進 データで見る大谷翔平の進化の理由【打者・総合評価編】

高卒2年目にして「パ・リーグ3位」の得点貢献

20141224_otani3
大谷翔平のパフォーマンス――総合評価

 リプレイスメント・レベルとの比較で、打者は創出した得点、投手は阻止した失点、大谷は両方の合算で数値を出してみる。すると大谷はパ・リーグで3番目に、得点換算での貢献が大きかったと評価できる。高卒2年目でこれだけの得点貢献を果たせる影響力のある選手に成長するというのは異例で、すでにチームの根幹を担う選手といえる。

 今季の成績をベースに投手は170イニング、野手は600打席を担当した想定でも、二刀流の貢献には及ばない。以前の記事『大谷の二刀流を成功に導いた、日本ハムの絶妙な“投打配分”』(注5)でも触れたが、投打の出場機会は理想的な配分だったことも付け加えたい。

 来シーズン以降は、今年後半の運用をベースに、投打で出場割合の増加を図ることになるだろう。投手としては、2~4回の先発機会増が見込め、1登板当たりの投球イニングを伸ばすことで、さらに得点貢献を大きくする可能もある。

 打者としても、打撃成績が安定し起用しやすい状況になってきたため、登板しないカードでの野手としての出場の増加が見込まれる。日本ハムのフロントは今年の234から、300程度まで打席を増やす青写真を描いているかもしれない。

「どちらかに専念した方が良い」という指摘も多いが、少なくとも今年の大谷は、投手と野手いずれかに専念した場合より大きな貢献を果たしている。本人が志向しているようでもあり、投打両方で出場機会を増やしさらに急角度で貢献を伸ばそうとするのは、フロントや首脳陣としては自然な発想だろう。

(注1)攻撃の総合力を評価する指標。出塁力、長打力の双方を考慮している。
wOBAの計算式(2013年スケール)
{ 0.692 ×(四球-故意四球)+ 0.730 ×死球+ 0.966 ×失策出塁+ 0.865 ×単打+ 1.334×二塁打+ 1.725 ×三塁打+ 2.065 ×本塁打 }÷(打数+四球-故意四球+死球+犠飛)

(注2)打席において、どのボールを打っていくか、どのボールを見逃すかなどの判断。

(注3)どのチームでも、いつでもレギュラーの代わりに出場させることのできる代替可能な選手のレベルのこと。ポジション別に計算される。(参照 https://full-count.jp/2014/11/26/post6574/

(注4)これは守備、走塁なども含む野手としての全貢献の総計。内訳は打撃で12.9、走塁で3.0、守備で-0.2。

(注5)「大谷の二刀流を成功に導いた、日本ハムの絶妙な“投打配分”」https://full-count.jp/2014/10/12/post5590/3/

【投手編はこちら】

【了】

DELTA・岡田友輔・秋山健一郎●文  text by DELTA OKADA,Y. AKIYAMA,K.

DELTA プロフィール

DELTA http://deltagraphs.co.jp/
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える セイバーメトリクス・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『Delta’s Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。最新刊『セイバーメトリクス・リポート3』が4月5日に発売。

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY