「悪の帝国」が誕生した12年前のクリスマスイブ 松井秀喜も発端だった!?
憎まれるほど強かった名門球団の愛称が誕生
投打の軸と期待していたコントレラスと松井を宿敵に奪われたレッドソックスのラリー・ルキーノCEOは、あまりの悔しさから地元紙ニューヨーク・タイムズに対して最初は「ノーコメント」としていたが、突如、態度を変えて、こう話したという。
「いや、私はコメントすることにする。イビル・エンパイア(悪の帝国)がその触手をラテン・アメリカに伸ばすことになった」
このフレーズからヤンキースの“愛称”が誕生。権勢を振るう“帝国”は翌年にレッドソックスを制し、39度目のア・リーグ制覇を果たした。
コントラレスはその年、背中の故障などで18試合の登板にとどまり、7勝2敗、防御率3.30。期待されたほどの成績を収められず、2004年途中にはトレードでホワイトソックスに放出された。しかし、松井はメジャー1年目から全163試合に出場し、打率2割8分7厘、16本塁打、106打点と力を発揮。その後もヤンキースで活躍を続けた。
ヤンキースには資金力のみならず、他球団のファンから憎まれるほどの強さがあったが、近年は苦しみのシーズンが続いている。昨年は宿敵のレッドソックスにワールドシリーズ制覇を許した。
昨オフはポスティングシステム(入札制度)で田中将大投手を楽天から獲得するなど、総額4億3800万ドル(約526億円)の巨額の強化費を投じたが、今年はア・リーグ東地区2位。首位オリオールズに12ゲーム差も付けられ、またしてもプレーオフ進出を逃した。
12年前に付けられた、その強烈な異名にふさわしい強さを来季のヤンキースは見せられるだろうか。
【了】
フルカウント編集部●文 text by Full-Count