【パ×Full-Count】「BsGirls」も起爆剤に ファン急増のオリックスが仕掛けた戦略とは

「収益面では2013年度と比較にならないくらい大きくなっている」

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初めて来るファンの比率では、女性の比率が4割を超える

――会員数が増えて、どんなインパクトがありましたか?

「会員数の人数だけが増えたのではなく、ファンの方々の人数が増えてきていたことを証明するようなデータがあります。ファンクラブの会員数は大きく増えましたが、ファンクラブの方々の総来場者数を会員数で除すると、会員の方々がシーズンで平均して何回来場するかがでます。その数字を私たちは回転数と呼んでいます。その回転数の数字がまったく落ちなかったんです。会員数が増えれば、その濃度が薄まるのが当然だと思うんですが、濃度を保つことが出来ました。具体的に言うと、ファンクラブの1年平均来場回数は約5回なんですが、それが2万7000人から4万1000人へと増えましたが、平均来場回数は変わらずに約5回を保つことができました。

 今後については、ファンクラブの会員数と回転数、両方の数字を伸ばしていきたいと考えています。それは、CRMというデータに基づいた施策を回していくことで、その成否をデータからしっかり判断し、良い施策をどんどん回転させていく。このPDCAサイクルのベースにCRMというデータベースを活用することが重要だと思っています」

――CRMを入れたことで、PDCAサイクルを早く回すことができるようになったと。判断も早くなっていますよね。

「その通りですね。CRMの運用については、顧客管理とポイントシステムという二つの柱があります。この二つを利用した施策で特徴的な例をあげると、ある3連戦にグッズ販売(Bs shop)で次のような施策を打ちました。

 1戦目は何も行なわない、2戦目はポイント2倍キャンペーンを実施する、3戦目は5%割引をやりました。すると、2戦目のポイント2倍キャンペーンで売上が大幅に増加しました。そして3戦目は通常の試合とほとんど売上に変化がありませんでした。

 こうした施策を打ったことで、グッズ販売の売上が伸び、ファンクラブ会員の購入比率も極端に高かった結果となりました。これはファンクラブ会員が何人来場し、いくら購入・利用したのかが瞬時にデータで判断でき、結果としてポイント施策と割引施策でどちらが施策として有効だったのかがデータに基づいて判断できるようになりました。そしてこれは来場やチケット販売でも同じように実施することができます。ポイントプログラムを使いながら、例えば5月の前半戦に5試合来た人には、翌月の前半戦で6回来ればキャンペーンポイントを付与する、といったような施策も実施が可能です。

 今年はこうした施策を繰り返し行なうことで、ファンの方が何を求めているかを敏感にキャッチして、ファンの方々に求められるようなサービス展開をしていきたいと感じます。そして優良施策(=ファンの方々が求める施策)とそれ以外の施策を切り分けて、新しい取り組みを行なっていきたいと思いますし、それにより、ファンクラブの回転数も高めて行きたいです」

――繰り返しになりますが、やはり1万4000増というのは凄い数字ですよね。2万7000からの増加ですから、構造的にも大きなインパクトが与えられたのではと思いますが。

「球団としてファンクラブ会員の方の収益は2013年度と比較にならないくらい大きくなっています。会員数の増加に引っ張られる形で、飲食やグッズの売上も比例して増加しています。

 あと、初めて来るファンの比率で、女性の方が凄く増えています。我々は過去3年間、来場者向けのアンケート調査を行っています。初めて来ているファンの中で、女性の比率が4割を超えてきました。2013年で30%台、2012年は20%台でした。球団としては非常に良い傾向だと感じます。

 一人で観戦しに来る方も多かったのですが、2014年は一人で観戦する方が減るかわりに、友人・知人と来場するセグメントが増えてきています。これは、人を誘い易いコンテンツになってきたのだと思いますし、人が人を呼ぶという好循環になってきているのだと思います」

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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