レギュラーでなくても不可欠な存在 DeNAを支える地元高校出身の2人のベテラン
人間味あふれる性格で後輩からも慕われる後藤
また、若いチームで頼りにされているのが、長田と同い年で「ゴメス」の愛称で親しまれている後藤武敏内野手である。
松坂とは高校時代の同級生で、クリーンアップを形成。強打者として恐れられた。法政大に進学し、2002年に自由獲得枠で西武へ。2011年オフにトレードでDeNAに加入した。人望が厚く、涙もろい。そんな人間味あふれる姿はチームから愛されている。
横浜高校では春夏全国制覇。大学でも主力でリーグ戦で三冠王を獲得するなど世代を代表する選手として有名だった。プロに入ってからはフルシーズンをスタメンで戦ったことはない。だからこそ、分かることもある。
「投手、野手、バックアップの3つがあって、チームはうまく回ると思っています」というのが持論。レギュラーの時は控えの選手の存在が大きかったと感じていた。支えてくれたことに感謝した。そして自分が控えになってみて、大切なことも学んだ。
昨年は右の代打の切り札として勝負所で起用された。4番のブランコがけがで離脱した時はその穴も埋めた。4番の椅子には9試合座った。68試合に出場し、打率.283、31打点、7本塁打の成績。今年も一塁にはロペスが起用され、同じような役割になることが予想される。しかし、レギュラー選手だけではチームは勝つことはできない。後藤のような存在が大きいのだ。
横浜DeNAには筒香や荒波といった横浜高校の後輩が多い。「こんな先輩ですが頼ってくれるので……」と後輩たちが困った時の相談役にもなっている。昨季、けがをおしてプレーしていた荒波は、このまま自分が1軍でやっていてもいいものかと自分から2軍降格を申し出ることを、後藤や同じく横浜高校の先輩でもある多村に相談している。後藤はその決断に背中を押し、荒波は中畑監督に直訴。後藤はグラウンド外でも選手たちの心のより所になっていた。そんな姿に指揮官からの信頼も厚い。
長田も後藤も育ててもらった恩返しをしたいという気持ちが強い。自分たちが高校3年生だった1998年以降、ベイスターズは優勝していない。悲願のCS進出や優勝へのキーマンは何もレギュラー選手だけではない。“縁の下の力持ち”としてチームを支える存在にも注目だ。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count