【パ×Full-Count】球界活性化へ パ・リーグが見据える「子どもファン」の拡大
2007年にパ・リーグ全6球団共同で設立されたパシフィックリーグマーケティング(PLM)。これまで各球団の地域密着やリーグ全体の活性化を目指し、様々な施策を推し進めてきた。07年当初に1億8000万円ほどだった売上も、15年は約9倍となる16億円超を見込んでおり、今後も新たな仕掛けを模索中だ。パ・リーグだけでなく球界全体の発展・成長に多大な影響を及ぼす可能性を秘めるPLM。同社はどのような未来を思い描いているのか。PLMの根岸友喜執行役員に球界の現状や今後の課題、施策などを語ってもらった。(中編)
野球との“タッチポイント”が減少する現代、「子どもファン」をいかに増やすか
新しいファンを増やしていくミッションを実現するためにフォーカスしている戦略の2つ目は、子どもファンの拡大です。子どもファンの拡大と言っても、今回触れたいのは野球のプレー人口を増やす「Do」の観点ではなく、野球観戦文化を創り出して行く「Watch」の観点です。
私自身、小学生時に少年野球をやっているわけではありませんでしたが、野球のルールはよく理解しており、当時のプロ野球の球団や選手のことも知っていました。実際に球場で観戦することもありました。約30年前のことになりますが、当時を思い出してみると、1日の生活の中で野球に対して少なくとも4つのタッチポイントがあったと思います。
1つ目は授業の休み時間。休み時間に校庭に出てよく手打ち野球をやっていました。2つ目は放課後。通学班の先輩後輩もしくは同級生たちと自宅近くの公園でカラーボールで野球をやったりしていました。3つ目は友人宅等に遊びに行った際に、「ファミスタ」や「燃えろプロ野球」等のファミコンゲームでよく遊んでいました。最後4つ目は、帰宅後の夜に自宅では祖父がテレビで巨人戦中継を必ず観ていたので、私も一緒に観ていた記憶があります。特に少年野球をやっていたわけではない、ひとりの小学生でもこれだけのタッチポイントがあったのです。
一方で現在の環境がどのようになっているかというと、その4つのタッチポイントがいずれも希薄になっている印象があります。
1つ目の授業の休み時間ではサッカーやドッジボールが主流だったり、そもそも休み時間にはボールの使用を禁じている学校もあるようです。2つ目の放課後は、少なくとも東京近郊だとボール遊び自体を禁じている公園も多いと聞きます。3つ目のファミコンゲームは、現代の子どもはゲーム自体は行うものの、野球ゲームは昔ほど多く行われていない状況にあるようです。最後4つ目のテレビ観戦は、東京近郊において、パ・リーグだけではなくセ・リーグの試合も、無料の地上波で目にする機会は減少しています。
皆さまに何をお伝えしたいかというと、現在のパ・リーグファンのボリュームゾーンである私の年代(38歳)が子どもであった約30年前には、日常生活の中で野球へのタッチポイントが自然にありましたが、現在の環境においては私たちが意図的にタッチポイントを作っていかない限り、機会がなかなか創出されないのではないか、ということです、それに対して私たちは危機感を抱いています。