「ファイアーセール」がお家芸? イチローが契約合意したマーリンズとは
2度の世界一も、いずれも直後に主力を大量放出
ヤンキースからフリーエージェント(FA)となっていたイチロー外野手が、マイアミ・マーリンズと契約合意した。第4の外野手としてスタートすることが予想されており、ナショナルリーグはDH制を採用しないためスタメン出場は減るが、代打での出場は増えることになりそうだ。
マーリンズはこれまで日本人選手が所属したことのなかった2つの球団のうちの1つ。メジャー30球団の中で、日本人選手の歴史が刻まれていないのは、これでレッズだけとなった。これまでの歴史から、マーリンズという球団については日本であまり知られていないと言えるだろう。「いつの間にか、フロリダ・マーリンズではなく、マイアミ・マーリンズになっていた」と思ったファンも多いのではないだろうか。
フロリダ・マーリンズは、MLBの球団拡張策により、1993年にマイアミに誕生。ナショナル・リーグの東地区に所属し、同年にシーズン初年度を迎えた。当時は西武でプレーしていたデストラーデらが在籍していた。
1997年には、当時パイレーツの指揮官で、後にタイガースなどを率いた名将のジム・リーランド監督を招聘した。ゲーリー・シェフィールド外野手らの活躍で、ワイルドカードからワールドシリーズに進出。モイゼス・アルー外野手、ボビー・ボニーヤ内野手ら大物をFAで獲得したオフの100億円補強も実り、4勝3敗でインディアンスを破って球団創設5年目にして世界一に輝いた。
しかし、世界一の称号を手にしても球団経営に大きな黒字をもたらなさなかったことから、主力選手を他球団に大量放出する「ファイアーセール」を実施。翌年はシーズン108敗で地区最下位に沈む。客足を遠のき、ファンは減っていった。
それでも、6年後の2003年には、ドジャースやレッドソックスでも活躍した剛腕ジョシュ・ベケットや、後にタイガースで三冠王に輝いた若き日のミゲル・カブレラを擁して、再びワイルドカードからワールドシリーズへ。ヤンキースを倒し、世界一に輝いた。このシリーズは松井秀喜氏が初のワールドシリーズに出場した年でもあった。