【パ×Full-Count】ファイターズが台湾戦略を仕掛ける理由 キーワードは「観光」と「陽岱鋼」
台湾からの観光客を積極的に取り込むイベントも実施
以前、Full-Countでも紹介したが、台湾における陽岱鋼の人気はすこぶる高い。スポーツ選手の中では突出した人気を誇っている。ただ、ファイターズはそれをどのようにして、自らの球団と結びつけていったのだろうか。佐藤氏は続ける。
「北海道は野球というキーワードを抜きにして、外国人がどんどん流入しています。その方々をどうやって球場に来ていただくかというのが目的となりますが、いきなり球場に呼び込むのは難しい。そこでまず立ち上げたのが“アジアンフェスタ”というイベントです。これは2012年から始めたものですが、まず北海道の人たちにアジアを感じ、楽しんでもらえるような趣旨で始めました。
このイベントを毎年行うことによって、北海道に住んでいるアジアの方々がこのイベントを目指して集まっていただけるようになりました。そして昨年は、台湾からこのイベントを目的とした北海道旅行を組んで、試合に来ていただけるような流れが定着しつつあります。2014年は8月上旬にアジアンフェスタを開催し、2試合連続で満員御礼を出すことができました。
また、陽岱鋼をキーにしたビジネス展開も進んでいます。主にスポンサードの部分ですが、台湾国内で年間を通したキャラクター契約、広告契約が進んでいます。大手の飲料メーカーやバイクメーカーなどを中心に、数社と契約を結んでいます。さらに台湾国内でファイターズの全試合中継が始まったこともあり、ファイターズ、そして陽の露出がさらに高まっているので、今後、さらにビジネスの流れは加速すると思います」
順調に見えるファイターズの台湾戦略だが、佐藤氏は課題も口にする。
「すでに台湾マーケットは億単位のビジネスに成長していますが、その多くが陽岱鋼に紐付いたものとなっています。将来的に陽がチームを離れることがあった場合、ビジネス自体が立ち行かなくなる可能性があります。
そこで今年からはより積極的に、台湾の方々が球場に足を運んでもらえるスキームを作りたいと考え、現地のエージェントと交渉を続けています。台湾の方は、まだ団体旅行の割合が多く、個人旅行の比率が低い。北海道へ団体旅行で訪れると、行程がある程度パターン化されてしまいます。
例えば4泊5日の場合だと、1日目と4日目は札幌のホテルに泊まりますが、その間は温泉やスキーなど、札幌以外の場所で宿泊することが多くなります。ファイターズとしては、1日目と4日目の札幌にいる夜に、球場へ来ていただく方策を練っています。具体的には、現地の旅行代理店さんと交渉を続け、団体旅行のパッケージに札幌ドームの試合を組み込んでもらう交渉を行っています」