ヤンキースで地位築いた黒田博樹 ファンが心待ちにする「別れの儀式」

根底にある「一球の重み」が広島復帰の決断を後押し

 2月から始まる日本プロ野球のキャンプで、話題を集めそうなのが広島カープに8年ぶりに復帰する黒田博樹投手だ。間もなく40歳を迎える右腕は途中からの合流となる。

 昨年末に日米ファンを驚かせた決断には、黒田の根底にある「一球の重み」への思いが強く反映されていた。

 メジャー7年間で211試合に先発。その中でも一際強く印象に残っているシーンがある。2013年5月の敵地でのロイヤルズ戦。先発した黒田は勝負どころの終盤に、球審に際どい投球をボールと判定された後、痛打を浴びた。その直後、判定を確認した際に球審から「一球にすぎないじゃないか」と言われ、激高した。「一球のためにたくさん調整している。軽く言われるのは許せなかった」と珍しく感情をあらわにした。黒田の一球への思いが伝わってきた場面だった。

 2012年にヤンキース移籍後、「この一球で終わってもいいと思えるのが自分の強み」と繰り返すようになった。

 5年連続190投球回をクリアしてきた右腕だが、常に順風満帆だったわけではない。ドジャース時代に頭部に打球を受けて以来、再三悩まされてきた首痛が再発したこともあった。故障離脱してもおかしくない状況を「これくらいなら投げられる」と割り切ることで何度も乗り切ってきた。2月で40歳となる体に残された時間がそう多くないことを実感していたのかもしれない。

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