代理人が明かす真相 イチローはなぜマーリンズと「1年契約」だったのか

1年契約には、イチローの自信が表れている

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イチロー【写真:編集部】

「成功するための最高の環境を整える。もしも、状況が完璧にいかなかった時には、自分たちの状況を把握し直す必要がある。いずれにしても前に進むしかない。3000本安打という目標もある以上、そこを見据えた状況を作りたかった」

 イチロー本人は「それがすべてではない」としているものの、代理人のボッグス氏にとっては、金字塔である3000本安打に到達する可能性ができるだけ大きくなる環境を整えることは1つのミッションだ。来季以降も見据えての1年契約だったということが分かる。

 そして、この契約から見えてくるのは、イチローができるだけ長く現役としてプレーする意欲を持っていること。それだけ先を見据えている。今年や来年限りで現役生活に幕を引く可能性は低そうだ。

 環境さえ整えば、結果を出して新たな契約を引き出す自信を持っていることも伝わってくる。期待通りの働きを見せれば、再契約を望むであろうマーリンズへの残留を筆頭に、来季以降の選択肢は広がる。41歳だが、もう1年の保証はいらない。イチローにとっては、まずは今年、変わらぬ実力を見せることが大切なのだ。

「契約したからといって、どんな将来が待ち受けているか分からない。でも、クリアな状況が最高の結果を引き出す。今回のマーリンズは熱意を見せてくれた。ここにいる紳士たちは18時間もかけて日本に来てくれた。この状況がいかに彼を求めているか、ということを明確にしている。マイアミ・マーリンズはそこまでしてイチローを求めていると身を持って証明してくれた」

 正式契約と入団会見のために、幹部総出で来日したマーリンズの熱意について、ボッグス氏は確かな手応えを感じていた。必要とされている環境で、イチローは高い確率で結果を残すだろう。それでも、慎重さは失わない。周到な準備の上で、あらゆる可能性を検討し、結ばれた1年契約だったことが分かる。

「彼らの示した熱意というのは単なる4番目の外野手ではなく、すごく特別な4番目の外野手に示したものだ。そして、その外野手は打席数を熱望していることをチームは理解している。私は打席を制限した彼と契約したわけではないと考えている。他の選手も同様だが、彼を起用してシャープな状態にし続けてくれると考えている」

 ボッグス氏はイチローにとって最高の環境が整ったと確信している。イチロー自身もそう感じたからこそ、第4の外野手と分かっていながら、納得してサインしたはずだ。この1年契約は吉と出ると信じたい。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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