イチロー獲得をきっかけにマーリンズが変わる? 「日本との扉を開く」

メジャーを席巻する日本人投手の獲得も?

 ヒル強化責任者の言葉からは、今までは縁がなかった日本とのパイプを太くしたいとの強い思いがにじむ。実際に、フィジカルチェックを経ての正式契約と入団会見のために球団幹部5人が来日する超異例の“VIP待遇”でイチローをチームに迎え入れた。

 イチローの代理人を務めるジョン・ボッグス氏もこう明かす。

「本来はLAでやる予定だったけれど、全てを日本で行った。このことは、いかに彼が例外的な選手であるかを示しているんだ。我々は(日本での会見やフィジカルチェックを)あくまで提案したにすぎない。提案こそ私の仕事だからね。実際にやるかやらないかは球団次第。マーリンズは日本で全てのプロトコルを行うメリットを感じた。日本にもファンがいる。メジャーリーグ全体にとってもスター選手の母国で入団会見を行う意義は深い」

 報道陣100人以上、20台以上のテレビカメラが詰めかけ、大きな注目を集めた入団会見に出席したことで、ヒル強化部長の日本への思いもさらに強くなったに違いない。

 近年、メジャーでは黒田博樹(現広島)、上原浩治(レッドソックス)、岩隈久志(マリナーズ)、ダルビッシュ有(レンジャーズ)、田澤純一(レッドソックス)、そして田中将大(ヤンキース)ら日本人投手の活躍が目立つ。初の日本人プレーヤーは野手のイチローだったが、今後はNPBで投げている選手を含め、優秀なピッチャーの獲得に動く可能性は十分にある。純粋な戦力としてのメリットは大きい。

 イチローが加入したことで、日本でのチームの知名度は飛躍的に上がった。さらに、シーズンが開幕すればテレビ中継などで試合を観る機会も増えるだけに、日本の野球ファンの間ではさらに親近感が沸いてくるはずだ。最も遠いMLB球団の1つだったマーリンズに複数の日本人選手が所属し、ワールドシリーズ制覇を目指す日が、そう遠くない未来にやってくるかもしれない。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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