巨人4連覇のキーマンは? 原監督が語る唯一“替えの効かない”存在とは
今オフに再生療法を受けた山口、もし開幕に間に合わなければ……
昨年は開幕前に左肩を痛めて出遅れ、復帰後には60登板を果たして7月11日の阪神戦では200ホールドも達成した。ただ、その一方でシーズン途中に痛めた左ひじの影響で、本来のボールの切れとは程遠い内容のピッチングも多く、防御率は3・04と2010年に次ぐワーストの数字に終わっている。そのためシーズン終了後にはヤンキースの田中将大投手が受けたのと同じ「PRP療法」という再生療法を受けて、今季への再起を図ることになったのだ。
そうして乗り込んだ宮崎キャンプ。
「いつもは2月1日に捕手に座わってもらって受けてもらっている。それがちょっと悔しいです。みんなが横でバンバン投げているので、気持ちも焦るけど、状況が違うので焦らずにやっていきたい」
初日にブルペン入りしたものの、捕手を立たせて30球を投げた左腕は、今の心境をこう語っている。その後もひじの状態を見ながら、決してムリをすることないペースでピッチング練習を行い、あくまで開幕を目標に仕上げていくことになる。
「もし、間に合わなかったら? ルーキーの戸根(千明、22=日大出、ドラフト2位)は面白いと思いますよ。変則でボールに力がある。それに高木京介もいます」
危機管理として左腕二人の名前を出した原監督だが、言葉は続く。
「ただ、山口は間に合いますよ。僕はそう思っている」
リーグ4連覇と日本一奪回のために、替えの効かないキーマンとして山口鉄也の名前が、指揮官の構想から消えることはない。
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鷲田康●文 text by Yasushi Washida
鷲田康 プロフィール
1957年、埼玉県生まれ。慶応義塾大学卒業後、報知新聞社に入社。91年オフから巨人担当キャップとして長嶋監督誕生、松井秀喜選手の入団などを取材。その後、プロ野球遊軍などで約10年間、巨人を中心に野球取材を担当した。2003年に同社を退社。フリーのスポーツジャーナリストとして日米のプロ野球やアテネ、北京両五輪、WBCなど日本代表チームを取材、執筆活動を続けている。現在は週刊文春で「野球の言葉学」、ナンバーウエブ「プロ野球亭日乗」、サンケイスポーツ(東京版)「球界インサイドリポート」などを連載。主な著書に「長嶋茂雄最後の日」「10・8 巨人VS中日 史上最高の決戦」「ホームラン術」「WBC戦記(共著)」(いずれも文藝春秋社)「松井秀喜の言葉」(廣済堂出版社)などがある。