松坂を復活へと導く名伯楽 投手王国構築を託された佐藤コーチの教えとは

指導力に早くも感嘆の声、松坂本人とも修正ポイントは合致

 昨季のソフトバンクは、チーム打率2割8分というパ・リーグでダントツの攻撃力を誇りながらも、防御率3・25はオリックスに次ぐ2位。佐藤コーチの言う469四球は、パ・リーグ6球団で3番目に多い数字だった。常勝軍団の構築には投手陣をより強固にすることが必須。60歳の名指導者にその使命が託された。

 ブルペンでも精力的である。武田翔太、飯田優也、東浜巨ら、今季更なる飛躍が期待される若手投手陣に次から次へと声をかける。下半身や肩の開きなどフォームのアドバイスを送るのはもちろん、昨季不振に苦しんだ摂津正にもキャッチボール中から体の使い方をアドバイスするなど、修正点があると思えば、若手、ベテラン、実績のあるなしに関わらず、声をかけていく。「佐藤コーチの指導は、本当に的確で分かりやすい」とは、ある若手投手。選手からはその指導力に早くも感嘆の声が漏れている。

 そんな佐藤投手コーチには、もう1つの使命がある。松坂大輔投手の復活だ。

 メジャー帰りの右腕は、キャンプを通してメジャー時代に染みついた投球フォームの改善中。キャンプ序盤から佐藤コーチと意見を交換し、肘が下がり、横振りになった悪癖を取り除こうとしている。

 初めてブルペン入りした今月5日には、松坂から「こういう所を見て下さい」と請われた佐藤コーチが、セットポジションに入った松坂の後方や左斜め後方に立って投球を繰り返し行った。松坂いわく「僕が気になっているところ、佐藤さんが気にしているところも同じ」と、修正ポイントは2人の間で共通している。

 キャンプも中盤に差し掛かり、佐藤コーチも松坂について「良くなってきている。初日に比べれば、数段良くなっている。本人のやろうとしていることに近づいている」と手応えを感じている様子だ。

 若手の成長と松坂の復活。ダルビッシュ、田中を育てた手腕はソフトバンクでも光り輝くのか。盤石の投手陣構築に成功した時、ソフトバンクに「黄金時代」が到来するに違いない。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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