松坂の投球はメジャー8年でどう変化? OP戦3度の登板で見えた課題と可能性
かつては剛腕でならした右腕もこの8年で変化が……
松坂自身は答えを明かさなかったが、それはカーブではないか。この日の立ち上がり、荻野貴に左前に運ばれたカーブの球速は121キロ。続く鈴木の2球目に投じたカーブも121キロだった。これまでの実戦で投じた松坂のカーブは110キロ台。若干ではあるが、これまでより速かった。
それが、3回先頭の荻野貴に投じたカーブは113キロ。その後も球速は110キロ台中盤で推移していた。かつて、松坂は「僕はカーブを投げている時のタイミングがいい感じ。カーブの時はスムーズに投げられる」と話していた。この話から推測するに、この日の投球でもカーブに明らかな変化が見て取れたのだ。真っすぐは常時140キロ台をマークし、最速は145キロだった。前2回の登板よりも平均球速も一段階上がった。
かつては、剛腕でならした松坂。その全盛期と比べてしまえば、その姿は全く違うものだったが、その時からは8年が経過している。その間に右肘を手術した。メジャー挑戦を決断した時に26歳だった男は今年で35歳になる。経験と、それに裏打ちされた投球術、そしてこの日見せた修正能力の高さが、松坂には備わっている。あの時と全てが同じであるはずがない。過去の姿をそのまま今の松坂に投影する訳にはいかないのではないか。
6回4安打3失点。果たしてその投球は悪かったのか、良かったのか……。その評価は分かれるところだろう。ただ、すべての評価はシーズンでの成績で下されるべきもの。今は、あくまでオープン戦。調整の段階だ。どれだけ活躍しても、プロとして1円の評価にもならないのである。
残念ながら、松坂は登板翌日の18日にインフルエンザB型を発症。現在、チームとは隔離され、自宅静養を余儀なくされている。当初は24日のウエスタン・リーグのオリックス戦(神戸第二)を経て、31日のオリックス戦(ヤフオクD)でシーズン初先発となる予定だったが、それもすべて白紙となった。練習復帰は23日の予定で、初先発は4月までズレ込むことが確実な状況だ。出来る限り早く1軍へと戻り、マウンドでの雄姿を見たいものである。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count