レ軍は「ファイヤーセール」を行うべき? ダルビッシュ長期離脱の余波とは
レンジャーズは目先の1勝に固執するあまり、致命的なトレードの失敗を犯した?
主力放出を含めたファイヤーセールに踏み切り、今季に見切りをつけることで、来年の後半戦には強豪復活の可能性が出てくるとしている。
3年前の強豪がここまでチーム状況を悪化させた理由には、目先の1勝に固執するがあまり、致命的なトレードの失敗を犯したことがあるという。
ボウデン氏が例に挙げたのは、13年シーズンのトレード期限を前にカブスからマット・ガーザ投手を獲得するため、将来有望なC・J・エドワーズ、ジャスティン・グリム、ニール・ラミレスの3投手とマイク・オルト内野手をトレードで放出したこと。グリムは昨年11ホールドで防御率3.78、ラミレスは17ホールドで防御率1.44とブルペンで大活躍。オルトは打率1割6分だったが、本塁打を12本放った。ボウデン氏は、カブスがこの4人の契約期間を最低5年間保有していることも指摘している。
一方、4人のプロスペクトと引き換えに獲得したガーザは4勝5敗、防御率4.38という期待はずれの成績に終わり、翌年にFAとなってブルワーズに移籍した。ボウデン氏は「このトレードは今や大惨事のように見える」と強化部の戦略ミスを酷評している。
今オフも、レンジャーズはヨバニ・ガヤード投手を獲得するために、ブルワーズにルイス・サルディナス内野手、コリー・ネベル投手、マルコス・ディプラン投手という有望なプロスペクト3人をトレードで放出した。「これも2、3年後に後悔するかもしれないディールだ」と近視眼的な補強に苦言を呈している。
ボウデン氏は、昨年のレンジャーズは「生き地獄」だったと振り返る。チームを優勝候補に導くべく7年総額1億3000万ドル(約155億円)で獲得した秋信守外野手と、名手イアン・キンズラー内野手とのトレードで獲得した大砲プリンス・フィルダー内野手は、いずれも故障で離脱。若手の有望株ジュリクソン・プロファー内野手に加え、ダルビッシュら先発ローテーションの5人もいずれも故障者リストに入った。
故障者が回復し、捲土重来を期した今季も、最もトレード価値の高かったプロファーが肩の手術で2年連続となる欠場がすでに確定。そして、ダルビッシュも手術を受けた。ダルビッシュは昨年8月以降、右肘の炎症で離脱していたために、ボウデン氏は「レンジャーズとダルビッシュはなぜ去年、この問題に取り組まなかったのだろう」と疑問の声も上げている。
昨年、トミー・ジョン手術を受けたマーティン・ペレス投手の復帰も早くて今季中盤戦になる予定。下背神経の手術から復帰を狙うマット・ハリソン投手も故障者リストで苦しんでいる。
「レンジャーズは、今年もうひと勝負をするためにこのチームに継ぎ当てすることを願ったが、ダルビッシュの怪我がこのアイデアをスクラップにしてしまった」
記事では、エース離脱の衝撃をこう指摘。フィリーズのコール・ハメルズ投手という実力者の補強を望む声もあるが、若手の有望株を放出せず、彼らを中核とした将来を見据えたチーム作りをすることが得策とボウデン氏は説いている。