開幕メジャーかマイナーか ボラス代理人が吠えた、超有望株を巡る問題

有望株のメジャーデビューを妨げる球団経営の論理

 ここで視点を球団側に変えてみよう。

 基本的に球団はできるだけ長く選手の保有権を保っていたい。それが超有望株だったり、チームの核となることが期待される選手だったら、なおさら最短の6シーズンでFA権を与えてしまうのはもったいない。そもそも、選手はFA権を手に入れる頃に旬を迎える。できれば、1年でも長く自分の球団にいてほしい、と考えるのが、GMをはじめ首脳陣としては当然のことだろう。

 では、7シーズン目も球団が保有権を持てるようにするには、どうしたらいいか。メジャーデビューの準備ができたと思われる選手でも、少し長めにマイナーリーグでプレーさせて、メジャー登録日数が172日に達しないシーズンを作ればいいというわけだ。つまり、カブスはブライアントが最短の6シーズン(2020年)でFAとなるのではなく、7年目(2021年)も保有権がカブスにある状態を維持するために、今季開幕をマイナーで迎えさせて、数週間が過ぎた4月下旬にもメジャー昇格させる可能性が高い。

 これは球団経営という視点や、少し先まで見据えられる筋金入りのファンの視点から見れば、スター選手が1年長く球団に止まるわけだから、賢明な判断と言えるだろう。反対に、選手自身や代理人の視点から見たら、デビューは遅らされるし、FA権取得も遅らされるし、利点はない。そこで吠えたのが、ブライアントの代理人を務めるスコット・ボラス氏だ。

「クリスがメジャーで遜色ないレベルにあるのは、誰の目にも明らか。彼が開幕をメジャーで迎えられない理由が分からない。マイナーに送られる理由はない。カブスのラインナップに彼の名前がなければ、ファンはみんなカブスに対して違った見方をするだろうし、対戦相手も違う目で見るだろう。みんなが求めていることは、そういうことじゃない。ファンが球場に出掛ける時は、最高の選手たちがプレーすることを期待しているんだ」

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