新外国人投手の期待度 ジョンソンは広島にフィットする投球スタイル?

ここ2年で9回当たりの奪三振が飛躍的に向上したオンドルセク

○ローガン・オンドルセク投手(ヤクルト)【開幕一軍】

 4年連続メジャーで40試合以上に登板したリリーフ専門投手。ここ2年は9回当たりの奪三振が8.67、9.22と飛躍的に向上した。昨年の防御率は5.49と低調だったがこれは被BABIP .360の影響が疑われる。ゴロを打たせる技術を持つ投手で狭い神宮球場との相性はいい。日本でも決め球のスプリットとカーブで奪三振とゴロの山を築けるか。開幕カードでは2試合に登板。

○ヨスラン・エレラ投手(DeNA)【開幕一軍】

 キューバからの亡命選手。先発候補として長年期待されていたが芽が出ず、一昨年独立リーグへ。そこでリリーフ適性が認められ、59試合に登板。昨年はメジャーで20試合の登板機会を得た。来日してのオープン戦では5試合に登板。5回で奪三振4、失点3と現時点ではクローザーをまかされるレベルのインパクトは見せていないが、開幕一軍入りを果たしている。巨人との開幕戦に登板し、坂本勇人と長野久義から三振を奪った。

○マリオ・サンティアゴ投手(阪神)

 一昨年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でプエルトリコ代表として日本との準決勝に先発。そこで好投したことで注目を浴びた。メジャー経験はなく、3A級でも2011年に19試合登板があるだけと情報は少ない。4試合の先発登板では、2試合でQSを記録している。

 2012年には韓国のSKワイバーンズで18試合先発登板があり、95.1回を投げ49奪三振(9回当たり4.6)、39与四球(9回当たり3.7)という数字を残している。いずれもあまりよくないが、QSは8回記録している。1回当たりの投球数(P/IP)は16.1。阪神には実績のある外国人選手が多いが人数自体は少ない。チャンスが巡ってくる可能性はある。

(注1) QS:Quality Start=クオリティ・スタート
先発し、6回以上をマウンドに立ち自責点を3以下に抑えた回数。HQS(High Quality Start=ハイクオリティ・スタート)は先発し7回以上マウンドに立ち自責点を2以下に抑えたケースを集計したもの。

(注2)FIP:Fielding Independent Pitching
失点に対する投手の責任範囲の中心にある奪三振、与四球、被本塁打の結果から算出する推定防御率。平均的な守備、平均的な“運”の環境で投げていた場合にどれだけ失点したかを推定したもの。

(注3)パシフィック・コースト・リーグ(Pacific Coast League:PCL)
アメリカのマイナーリーグの1つ。インターナショナルリーグと並び最高レベル(3A)に位置する。16チームが所属し、打者有利な環境にある球場を本拠地とするチームが多いことで知られる。2014年の1試合平均得点は5.03。平均打率は.276だった。(NPB平均はそれぞれ4.12と.261)

(注4)BABIP
(投手の登板時に発生した)ファウルボールと本塁打を除く打球がヒットになった割合。打球がヒットになるかどうかに対する投手の責任は限られているため、BABIPが高い場合は、失点に対する投手の責任も疑う必要が出てくる。2014年のPCLにおける平均BABIPは.327。NPBは.305。

【野手編に続く】 | 【投手編・前編はこちら】

【了】

DELTA・水島仁●文  text by DELTA MIZUSHIMA,J

DELTA プロフィール

DELTA http://deltagraphs.co.jp/
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える セイバーメトリクス・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『Delta’s Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。最新刊『セイバーメトリクス・リポート4』を3月27日に発売。http://www.deltacreative.jp

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