菅野智之が巨人の真のエースとなるには 求められる絶対条件
菅野の「腕の振り」に見る故障の影響
調整段階から紆余曲折を経たシーズン前。対外試合初登板となった2月28日のヤクルトとのオープン戦では3回で6安打を浴びて3失点して急遽、次の登板予定を飛ばして再調整を行なった。3月11日の登板で5回を1安打(2失点)に抑えて、開幕投手をほぼ手中にしたが、3月20日の日本ハムを相手にした最終登板でも、3回で6安打を浴びて4失点(自責点は3点)と、結果を残せないままに実戦調整は終わった。
結果的には内容を評価されてではなかった。他に適任がいないという消去法での見切り開幕投手指名だったわけである。
それだけに開幕戦の投球内容が注目されることになったわけだが……内容はまだまだというのが実情だった。
「(先頭打者への)入りが大事だと思っていましたけどイメージ通りのいいピッチングができた」(菅野)
初回の先頭打者・石川雄洋内野手には初球145キロのストレートで入ると1ボール2ストライクから133キロのスライダーで空振り三振という立ち上がり。4回までは打者12人をパーフェクトに抑えるなど、序盤は完璧な内容だった。
ところが5回、先頭の筒香嘉智外野手に甘いスライダーを右翼席に運ばれたところからリズムがおかしくなる。後続に3連打を浴びて無死満塁、さらに7回にも内野安打とヒット、四球などで再び1死から満塁のピンチを招くなど苦しい投球が続いたのである。
「メカニック的なことを試合の中で気にし始めたら、試合にならない。とにかくバッターを抑えること、そこだけ考えている」
本人はこう語ったが、気になるのはメカニカルな部分、特に去年のような腕の振りがないことだ。
踏み出した左足にしっかりと体重が乗り切らないために、どうしても肘が下がって腕が振れないように見える。その分、真っ直ぐのキレが出ていないような印象なのである。