デスパイネ、グリエル、バレンティン… 主軸離脱のダメージはどのくらい?

グリエルが空けた大きな穴、今後のDeNAにどう響く? 広島はしのぎどころ

 バレンティンは4月中の復帰が難しいと伝えられており、5月の頭からの出場を想定した。欠場する試合は30試合、126打席を失うと試算した。開幕から右翼に入っている田中浩康選手は42打席をカバー。3.9点分の活躍を見せていたが、これもバレンティンの半分程度で、田中が出場していた場合と比べ3.7点の損失を出している。

 このまま復帰まで田中のレベルの攻撃力でまかなうと仮定すると、11.2点を失う計算になる。得点力では余裕のあるヤクルトならば問題ない数字かもしれないが、代わりに入る選手の成績が落ちたり、バレンティンの復帰が遅れればさらに多くの得点を失うことになる。

 グリエルはもう来日しないことが決まってしまった。もしグリエルが昨シーズンの成績で600打席フルに立っていたら約88点の得点創出が見込めた。代わりの選手がこのうちどれだけを取り返せるか。

 グリエルの起用方法にもよるが、今回は三塁をアーロム・バルディリス内野手、一塁にホセ・ロペス内野手が入る形を崩さず、石川雄洋内野手が守る二塁にグリエルが入っていたと仮定する。

 石川はここまで好調で、昨シーズンのグリエル並みに得点を創出しDeNAの得点力を支えている。ただし「グリエルがいた場合」との比較で損失を出さずにシーズンを終えるためには、石川がこのままのペースで安打を打ち続けるか、今の石川以上の攻撃力を持つ選手を代わりにあてる必要がある。これは簡単ではなさそうだ。

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広島エルドレッド(左)とグスマン【写真:編集部】

 広島は、開幕からの8試合に先発出場していたヘスス・グスマン内野手がよく得点を創出し、エルドレッドの穴を埋めていた。しかし、そのグスマンがケガで離脱。現在は左翼を守っていた松山竜平外野手と新井貴浩内野手を一塁で併用している。

 新たに獲得した外国人選手、ネイト・シアーホルツ外野手が守るポジションを考えると、エルドレッドが戻ってくるまでは、松山、新井、もし早い段階で復帰できればグスマンを含めた3選手で一塁をカバーすると見られる。

 図は新井が現在のレベルで、エルドレッド復帰のおおまかな目安である50試合目まで一塁を守り続けたと仮定してつくったものだが、その場合の損失は15点程度(松山が守り続けた場合は約8点)。このマイナスをできるだけ小さく抑え、左翼のライネル・ロサリオ外野手、右翼のシアーホルツが攻撃力を伸ばせれば、ダメージは小さくできるかもしれない。

(注1)wRC:Weighted Runs Created
四球や単打、長打の数とそれぞれの得点への影響度などを用いて、打者の出塁力、長打力双方を考慮した得点創出能力を計るWeighted On-Base Average(wOBA)の値から算出する、打者が全打席で創出したと推定される得点を表す。

DELTA プロフィール

DELTA http://deltagraphs.co.jp/
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える セイバーメトリクス・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『Delta’s Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。最新刊『セイバーメトリクス・リポート4』を3月27日に発売。http://www.deltacreative.jp

【了】

DELTA●文  text by DELTA

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