圧倒的な打力でDH起用が続く19歳 西武は「捕手・森」をどう育てるべき?
袴田コーチも明かしている“ある育成プラン”、体が大丈夫であれば……
袴田コーチは、本拠地で1、2軍の「親子ゲーム」がある時に、若くて体力のある森をどちらの試合にも出場させる日を作る方針も明かしているという。つまり、昼に捕手として2軍のゲームでマスクを被り、夜は1軍でDHとして出場するというプランだ。実は、野口氏も当初からこの案について触れていた。
「体が元気なら、親子ゲームで昼間に5回でも6回でも2軍でキャッチャーをやらして、1軍に戻ってきてDHで出す。体は相当な負担だと思いますけどね。たまにはそういうことがあってもいいのかもしれないですね。例えば、1軍の試合がないけど2軍がやっている、というときは行くべきでしょうね。少しでも実戦を経験するほうがいいと思います。
一番いいのは全試合2軍に行って、ミーティングまでに1軍に帰ってくることです。5、6回まで出て、1軍に戻って、しっかりミーティングから出る。試合中はブルペンに入って、チームの中継ぎピッチャーの球を捕る。そういうことをやれれば一番いいと思うんです」
ただ、これには当然、大きな障害がある。野口氏は「もちろん、体が大丈夫であればですね。それが大前提です。疲れてきてバットが振れなくなったら、元も子もないので。1軍の試合がメインであることは間違いないんです」とも指摘する。
すべては、森に高卒2年目とは思えない打力があるからこそ生まれている事態。もし、森が打てないのであれば、2軍に落として捕手として出場させ、経験を積ませればいいからだ。しかし、西武は大きな戦力として、1軍の打線に森を必要としている。まさに贅沢な悩みと言える。
「試合に出ていない選手だったら(親子ゲームも)やりやすいんです。例えば、左ピッチャーが全く打てないから、相手の予告先発が左の時に2軍に行って来いとか。でも、森君は左ピッチャーが先発でも試合に出るので、難しいんですね」
野口氏もこう説明しつつ「体はしんどいけど、頑張って2軍に行って来る。そして、1軍に戻って来る。それができればベストだということですね」と続ける。
森が打てば打つほど、西武首脳陣が頼もしさを感じることは間違いない。そして、同時に「キャッチャー森」の成長を考え、悩みも深くなっていくかもしれない。周囲からは、森のコンバートという解決策も少なからず聞こえてきている。ただ、球団の方針として、その可能性は極めて低いようだ。
「田辺さんも袴田さんも口をそろえていたのが、『コンバートは全然考えてない。現時点でコンバートを考えていたら、キャッチャー森友哉に対して失礼。そんなキャッチャー失格の判子を押すようなことはしない』ということです。『故障とかでどうにもならなくなったら考えるかもしれない』とは言ってました。でも、それは先の話だと。ここ何年かでそういうこと(コンバート)が起こることはないと断言してました」
野口氏はこう明かす。
森の打撃を生かしつつ、将来の正捕手として育てていく。西武にとっては、今年の大きな課題となりそうだ。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count