今季20安打中13本が流し打ち 攻略困難な巨人・井端の職人芸
攻略が難しいベテラン打者、ここまで全試合にスタメン
今シーズン、開幕戦から井端が放ったヒットは合計20本。内訳を見てみると、レフト方向へ1本、センターが1本。左中間が1本。内野安打が4本。残りの13本は全部ライトへのヒットになっている。それだけ逆方向への意識が高いことが分かる。投球コースは内、外、どの球種でも弾き返している。
井端は各打席の中で、右方向だけを意識しているわけではない。引っ張りにいって三塁ゴロ、強振して空振り三振、というケースもある。右へのヒット数は多いが、相手バッテリーも右方向だけに意識がいっているわけではない。井端には内角への意識も見て取れるため、外角に投げることもある。その中で井端は状況や投手の心理を経験から読み取り、ボールをヒットゾーンに落としている。状態がいい時は簡単に攻略できる打者ではない。
井端攻略の鍵を探すよりも、ベテランの前に走者を出さないことが一番重要なのかもしれない。走者を置いた場面ならバント、エンドラン、ヒッティング、進塁打……と何でもできる。この万能ぶり、黒子スタイルは原監督も高く評価している。今年5月で40歳を迎えるベテランには休養日としてベンチスタートがあってもいいが、ここまで全試合でスタメン出場。ここに首脳陣の信頼が見て取れる。
試合後のヒーローインタビューでは「前橋は良いところだと思います」と話していた。前橋は昨年の広島戦でも得意の右打ちで、逆転タイムリーを打った相性のいい場所だった。前橋のファンは「また井端のお立ち台と右打ちを見ることができた」と喜んだことだろう。守備でも魅せる井端の高い技術を目当てにして球場に足を運ぶ価値は十分にある。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count