Aロッドの本塁打記録は祝福されるべきか 焦点となる偉業の価値

Aロッドの偉業への道のりに再びスポットライトは当てられるべきか?

 チームドクターや球団を相手取って法廷闘争にまで持ち込んだロドリゲスの汚名返上への道のりは険しい。だが、今季の開幕戦でヤンキースのファンは「A・ロッドを許そう」という手製のボードを掲げたように、全試合出場停止処分という重い処罰を受けたスラッガーを許そうという風潮が今のところ感じられる。

 ジラルディ監督は春先に「我々が生きているのは2度、3度、4度、5度とチャンスを手にすることのできる寛容な社会だ」と自らに言い聞かせるように話していた。ロドリゲスが何度チャンスをフイにしてきたか、5度では済まないのかもしれない。しかし、ジャイアンツとバリー・ボンズが引退後も良好な(少なくとも表向きだとしても)関係を築いているように、ヤンキースは現在のA・ロッドの偉業への道のりに再びスポットライトを当てるべきだろう。地元ファンのサポートがある現状、偉業への道のりに価値を再び見出す方が懸命ではないか。

 とはいえ、個人的な感情が絡む難しい問題。傷ついた両者の関係を修復するのは容易ではない。5月は半分以上がアウェイという日程になっているヤンキース。ロードの試合で達成してほしい、というのが本音だろうか。

 ベテランは打席へ向かう登場曲にジャーニーの「Don’t Stop Believin’(信じるのをやめないで)」を選んだ。その想いは、ヤンキース経営陣にも届くのか。名門球団の対応に注目が集まる。

【了】

伊武弘多●文 text by Kouta Ibu

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY