試合中に“別人”に生まれ変わる大谷翔平 今季の快進撃を支える球種とは
不安定な立ち上がりを修正して両リーグ単独トップの4勝、大谷が投じる“修正球”
大谷翔平は球界屈指のカーブの使い手。プロ3年目の今季、自身初めて開幕投手を務めた。そこから一気に4連勝。4月21日現在、4勝は両リーグ通じて単独トップ、33奪三振は2位。防御率0・94はリーグ2位。首位を走るチームとともに投手としては開幕ダッシュに成功した。
大谷と言えば、ストレート。日本人最速162キロを誇る。だが、カーブこそが今シーズンの快進撃を支えている。カーブ。長いプロ野球の歴史の中で、この球種を武器とし、活躍した投手は多い。巨人の怪物・江川卓は剛速球とカーブのコンビネーションで並み居る強打者を封じ込めた。桑田真澄のカーブはドロップとも表された。左腕でも、現ソフトバンク監督の工藤公康や中日の今中慎二らが代表的だろう。
大谷にとってカーブとは……。100~110キロ台のものと、少々速い120キロ台の2種類を操る。いずれもカウントを整えたり、決め球に使うケースはあるが、さらに重要な意味を持っている。大谷はカーブを“修正球”としても活用する。
無傷の4連勝と破竹の勢いで白星を積み重ねてきたが、今年は立ち上がりに苦慮している。そこでカーブだ。フォームにズレが生じた時、カーブで修正を図る。しっかりと腕を縦に振ることを意識づけられる球種こそがカーブ。体の軸や腕などフォームのブレを立て直すことができる。試合中、さらには味方が攻撃している間のキャッチボールで微調整してきた。