奇跡のメジャーリーガーが再び岐路に 復活物語の続編はあるのか

再び薬物使用が発覚したハミルトン、エンゼルスからは放出へ

 かつて奇跡のカムバックを果たしたメジャーリーガーが、再び野球人生の岐路に立たされている。大リーグ、ロサンゼルス・エンゼルスのジョシュ・ハミルトン外野手(33)。今季開幕前にコカイン使用が発覚した通算192本塁打を放っているスラッガーは、同じア・リーグ西地区に所属するテキサス・レンジャーズに放出される見通しとなった。

 米報道によると、トレードで見返りの選手はなく、レンジャーズが支払う年俸は700万ドルに満たないという(ハミルトンが減俸をのむという報道もある)。エンゼルスは残りの3年8300万ドルを負担してでも同選手と決別する道を選んだ。

 ハミルトンはメジャーデビュー前に薬物の更正施設に入り、コカインとアルコールの依存症を克服した過去を持つ。2010年にはリーグトップの打率3割5分9厘をマークし、32本塁打、100打点と活躍。チームのワールドシリーズ進出に大きく貢献し、ア・リーグMVPに選ばれた。

 それまではパワーはあるものの、力みが目立つ打撃は荒さもあったが、人づてに「場外まで飛ばさなくても外野フェンスを越えれば本塁打になる」という王貞治氏の言葉を聞き、考え方を変えたという。力を抜いたフォームに修正し、この打撃改造が飛躍のきっかけになった。

 その後、オールスター選出5度というスター選手になると、2012年オフに5年総額1億2500万ドルの大型契約でエンゼルスに移籍した。だが、昨年までの2年間はけがも多く、計140試合の出場に留まり、不本意な成績に終わっていた。

 それだけに今回、薬物使用が発覚したことはエンゼルスを落胆させるのに十分なもので、経営陣との関係は修復し難しいものだったのだろう。同地区ライバルへの放出が、溝の深さを物語っている。

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