奇跡のメジャーリーガーが再び岐路に 復活物語の続編はあるのか

薬物依存症と戦うハミルトン、古巣レンジャーズで再起なるか

 最近はいい話題がなかったハミルトンにとっては、ファンから絶大な人気を誇り、球団のサポートが期待できるテキサスで心機一転、出直しを図る好機になるかもしれない。

 5年間プレーしたレンジャーズでは自己ベストの成績を残した。現在、エースのダルビッシュら投打に故障者が続出し、ア・リーグ西地区最下位に沈むレンジャーズにとってもリスクは少なく、ハミルトンの復活に賭けるだけの価値はありそう。プレーオフ進出に望みを見いだせない現状、明るい材料になる可能性を秘めている。

 一方、同選手がライバル球団でプレーするために大金を払わなければならないエンゼルスは失うものが大きすぎる気がするが、そこまでハミルトンに選手としての価値を見いだせなかったのか。

 これまでも、薬物依存症と戦うハミルトンの足取りは多くの注目を集めてきた。

 敬虔なクリスチャンでもある左打者は「つらい過去を話すのは自分の使命」と講演活動を通して薬物依存症を抱える人々と接してきた。以前筆者が取材した際も自らの過去を隠さず、詳しい経緯なども丁寧に話してくれた。

 身体中にタトウが刻まれ、一見怖そうに見えるが、口調も穏やかでチームメートとも良好な関係を築いていた。エンゼルスでは思った結果が残せず、悩みが深まり、薬物に手を出したのだろうか。今回、再び道を踏み外したのは残念だが、一度どん底からはい上がってきたハミルトンの第2の復活ストーリーを見てみたい。

【了】

伊武弘多●文 text by kouta Ibu

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