日本一連覇を目指すソフトバンク打線に陰り? 開幕1か月で見えた課題とは

併殺打の多さは12球団でダントツ、何が影響しているのか

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チームトップの5本塁打を放っているソフトバンク・松田宣浩【写真:編集部】

 チーム打率の低迷も波に乗れない要素ではあるが、それ以上に悩ましいのが併殺打の多さだ。開幕から7試合で14個の併殺打を積み上げ、4月29日の日本ハム戦でも1つの併殺打。4月終了時点で26併殺は12球団でもダントツの多さなのである。

 この併殺増の要因の1つは送りバントの減少が考えられる。昨季は4月終了時点で24犠打だったが、今季は14犠打と10個減。バントを多用した秋山幸二前監督に対し、今季から就任した工藤公康監督は試合序盤のバントに積極的ではない。

 特に試合序盤、立ち上がりの不安定な投手に対し、簡単に1つのアウトを与えるよりも、強攻策を選択する。現役時代の投手としての経験則から、より投手が嫌がるであろう策をチョイスしようとするのが工藤監督の考え方。作戦は指揮官それぞれの色であり、どちらが正解というのはないが、現状ではその策はハマっていないと言えるだろう。

 選手個々に目を移してみる。文句なしの働きを見せているのは全26試合で3番に入る柳田と、主に6番に座っている松田の2人だろう。柳田は打率3割5分、4本塁打、13打点と、月間MVPも視野に入るほどの活躍ぶり。強いて挙げれば、盗塁2個が物足りないが、昨季も4月までは4個だったことを考えれば、5月以降の増加が期待出来るだろう。

 松田は打率3割2分3厘、チームトップの5本塁打を放っている。1番での起用が多い昨季の最多安打・中村晃も打率3割2分4厘をマークしており、上々の滑り出しといえるだろう。

 振るわないのが、李大浩と今宮の2人。李大浩は12日の日本ハム戦(熊本)まで6試合連続無安打となるなど、打率は一時、1割9厘まで低下した。その後は9試合連続安打を放つなど、ようやく復調気配。打率2割2分1厘まで上昇してきた。

 今宮は打率が1割を切るなど、低空飛行を続けていた。ここ4試合中3試合で安打を放っており、こちらも徐々に復調の兆しを見せ始めている。新4番の内川も、打率2割9分7厘は、8年連続3割がかかる好打者にとっては、まだ本調子とは言えないだろう。9併殺はリーグワースト。ただその一方で、リーグ4位の20打点を挙げており、浮き沈みの激しい1か月だったのではないだろうか。

 チーム全体として、併殺の多さという面から見ても、打線のつながりが目下の課題であるだろう。日本ハムに続く2位タイにつけるソフトバンク。打線の奮起がなければ、連覇への道は険しくなる。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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