中田翔は「チームが勝つための4番」 その打撃の真髄とは
今季打点を挙げた試合は高い確率で勝利、栗山監督「(中田は)責任を感じている」
稲葉篤紀や金子誠が昨シーズン限りでユニホームを脱いだ。大幅に若返った日本ハムにあって、中田は先導役としての役割も担っている。栗山監督は「責任を感じているよね。若い選手に声を掛けたり。それは前から裏でやっていたことだけど表現し出したよね」。数字と共に言動でもチームを引っ張る。
中田が打てば勝つ試合は多い。チャンスで巡ってくる確率の高い4番を任されているから当然とも言える。今季、打点を挙げた試合はここまで9勝2敗。4月29日のソフトバンク戦で“記録”は途絶えてしまったが、本塁打を打った試合は昨季から数えて12連勝を飾っていた。
チーム打撃――。ケタ違いのパワーを備えているからこそ、これに徹することができるのかもしれない。本塁打狙いの打撃を捨てる勇気も持てるのだろう。そして、ヒットの延長がいとも簡単に柵を越えることだってある。
4月5日のオリックス戦では、2-1の5回2死満塁で“珍事”が起きた。カウント2-2から左腕・山崎福也の直球にバットを出した。左翼方向にフラフラっと舞い上がった打球に目をやり、バットを叩きつけて悔しがった。ところが、結果はオーバーフェンス。「レフトフライだと思った」。決して狭い球場ではない京セラドーム大阪で、凡打は本塁打になった。
今や侍ジャパンの中軸にも座る。ホームランは野球の華――。それは重々、承知だ。ただ、チームを勝たせられなければ、意味がない。だからこそ、中田はホームランバッターではなく、真の4番バッターなのだろう。
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J・T●文 Text by J・T