青木宣親、斎藤隆らも感謝する恩師が解任 去りゆく指揮官に伝えたい言葉
東日本大震災当時は斎藤もサポート、「本当に頭が上がらない思い」
現在、楽天に所属する斎藤隆がブルワーズにいた2011年も、レネキー監督が指揮を振るった。この年の3月には、日本で東日本大震災が発生し、斎藤の故郷でもある仙台が大きな被害に見舞われた。チームはこの年プレーオフに進出したが、シーズンが終わって一段落した時、斎藤がこう言ったことがある。
「レネキー監督だったから、今年1年プレーし続けることができたと思う。本当に彼には頭が上がらない思い。感謝してます」
震災発生直後、家族や友人らの安否確認で寝ることすらままならなかった斎藤に「いつでも力になるから」と声を掛けてくれた恩人は、その後も震災の話になると、自らのことのように目に涙をためていたことが思い出される。
そんなレネキー監督の人柄を表すかのように、解任前も解任後も、選手やスタッフ、記者ら普段接することが多い人から、彼を責めるような発言や意見は出ていない。むしろ、選手の間から聞こえるのは、監督を解任に追い込む状況を作ってしまった自分たちを責める声だった。
「残念だけど、現場復帰すると思う。これからも活躍なさることを期待しています」
こう締めくくった青木の言葉を、レネキー監督本人に伝えたくなった。
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佐藤直子●文 text by Naoko Sato
佐藤直子 プロフィール
群馬県出身。横浜国立大学教育学部卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2004年にフリーとなり渡米。以来、メジャーリーグを中心に取材活動を続ける。2006年から日刊スポーツ通信員。その他、趣味がこうじてプロレス関連の翻訳にも携わる。翻訳書に「リック・フレアー自伝 トゥー・ビー・ザ・マン」、「ストーンコールド・トゥルース」(ともにエンターブレイン)などがある。