イチローも歓迎したマ軍新指揮官 「GM→監督」は理にかなった人事?
イチローも歓迎、「発想として面白い」
就任から3戦連続で敗れてしまったが、チーム最年長のベテラン、イチローは「野球人」として尊敬されるジェニングス新監督の就任をむしろ歓迎しているようだ。
「対話を大事にするようなイメージ。誰に対してでも分け隔てなく、それをしっかりやるという人、そういうイメージだけどね。野球をよく知っていて、それで徳が高い人だったら、(監督経験がなくても)全然いいと思いますけどね。そんなおかしな経験者よりも、発想として面白いと思いますよ。今回はフロントから(転身)っていう難しさだよね。でも、経験したことがないからっていうことは、少なくとも僕の中にはないですよ。発想としては別に悪くない」
新監督自身も就任会見で触れていたが、自分がGMとして補強したチームを、立場を監督に代えて指揮することは、やりたくてもできない特権だろう。個々の選手をどう使ったら生きるか、どうチームとしてまとめ上げたら機能するか、その方向性を決めていたのは自分自身。ある意味、とても理にかなった人事なのかもしれない。
もちろん、全選手が想像通りの働きをするわけではなく、こんなはずではなかったと思うことも多々あるだろう。と同時に、オフに目指したチーム作りが机上の空論ではないことを証明する絶好のチャンスでもある。野球人としての頭脳を生かしながら、どんな采配をふるうのか。ジェニングス新監督からしばらく目が離せなさそうだ。
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佐藤直子●文 text by Naoko Sato
佐藤直子 プロフィール
群馬県出身。横浜国立大学教育学部卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2004年にフリーとなり渡米。以来、メジャーリーグを中心に取材活動を続ける。2006年から日刊スポーツ通信員。その他、趣味がこうじてプロレス関連の翻訳にも携わる。翻訳書に「リック・フレアー自伝 トゥー・ビー・ザ・マン」、「ストーンコールド・トゥルース」(ともにエンターブレイン)などがある。