一時は“不敗神話”も DeNA石川が今季にかける思いとは
「今季はストレスなくやれている」石川、その要因とは…
地元・横浜高校出身で今年で早くも11年目を迎える。若い時から出場機会を多く与えられてきたが、打撃でも守備でも安定した成績を残せず。2012年からはDeNAベイスターズの初代主将に任命されたが、ケガや外野へのコンバートなどもあり、不本意な成績だった。2013年シーズンにも2軍落ちを経験し、昨年の打率は2割4分8厘。表情から明るさは消えていった。
そんな姿を見かねた中畑監督は石川が背負っていた大きな荷物を取り除くことにした。主将を筒香に変更したのだった。
これで心が軽くなったのか、本人も「今シーズンはストレスなくやれていますよ。(キャプテンでなくなったこともその理由?)それも一因ですね。チームのことを全体的に見ようとしているのは今も変わらないけど、自分もやらねばいけないという思いも強いですし、まだまだ野球をやりたい。仲のいい梶谷や筒香もがんばってる。自分もがんばらなきゃって思えるし、若い選手も刺激になっていますね」と、生き生きとした表情で語っている。
石川が入団してからの主軸だった村田修一は巨人へ、内川聖一はソフトバンク、藤田一也は楽天、相川亮二はヤクルト、巨人へと移っていった。手本にしていた石井琢朗は広島へ。そのほかにも当時のメンバーがチームから離れ、自分がやらなくてはいけないという思いに押しつぶされた時期もあったのかもしれない。それでも「もう1度輝きたい」と笑顔で話し、チームメートと共に、いまだ味わったことのない優勝の美酒のためにひた走っている。もう自分一人ではない。石川は新たな仲間たちと支え合いながら戦っている。
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白井京子●文 text by Kyoko Shirai