阪神・藤浪が進むべき道 スピードよりも“打ちにくいピッチャー”へ
圧倒的な球速を誇る同期の大谷とは違う藤浪の良さとは
「前田健太は既に確固たる形を持っている選手です。きちんとしたメカニズムがあって、どこで力を入れて、どこで力を抜くという自分なりの形が出来上がっている。藤浪にはまだそれがありません。見えてきたとしてもまだおぼろげでしょうし、だからこそ球が暴れてしまう。“球界のエース”と呼ばれる人間と一緒にトレーニングをした訳ですから、藤浪が色々試したくなる気持ちはよく分かりますが、合う、合わないもありますし、しっかり見極めなければなりません」
ここ2試合、好投を続けた藤浪は、その見極めができてきているのだろうか。そして、これから好調を維持していくことはできるのだろうか。
「少なくともこの2試合を見る限り、フォームのバランスは良くなってきているように感じます。今までの悪かった部分が抜けて、下半身と上半身のバランスが取れてきているように思います。ただ、それがたまたまできているのか、もしくは自分の頭の中で理由付けができて修正できているのか。当然ですが、後者なら良くなっていく可能性は高いですね」
今季の藤浪は、コントロールに苦しむ場面が散見された反面、最速158キロを記録するなど、直球のスピードは上がってきている。本人はスピードは意識しないというコメントを残しているが、それを補完するように、野口氏は藤浪の未来像についてこう語る。
「本人がどう考えようと、同期に大谷翔平がいますから、どうしてもストレートのスピードに関しては周囲からも煽られます。ただ、そこは強く意識しない方がいいと思います。藤浪には“打ちにくいピッチャー”を目指して欲しいですね。クロスステップして球がナチュラルに変化して、というだけで打者は十分打ちにくいですよ。
例えば、カブスの和田毅のように、そこまで球は速くないですけど、球持ちの良さとフォームの特徴で、球が速く見える。僕が選手時代に(和田と)対戦したときも、これはちょっとやそっとじゃ打てない、と感じました。藤浪は、既にその形を持っている投手だと思いますし、そこに磨きを掛けてほしい」